シリーズ病気 No.1 膠原病(こうげんびょう)
内科(副院長)藤井 隆
はじめに
膠原病は一つの病気を意味するのでなく、いくつかの特徴を持った病気の総称です。 膠原病では生体内の結合組織の病変が生じます。結合組織は個々の細胞、組織、臓器を結合、保護、或いは支持する大事な組織です。血管も結合組織で構成されています。膠原線維は結合成分の一つで、皮膚をはじめとして全身に分布しています。1942年クレンペラーという病理学者は心臓病、腎臓病などのように或る一つの臓器だけに病気が起こるのでなく、全身の多数の臓器に障害が生じ、膠原線維に共通して病変がみられる疾患を膠原病という名称で提唱しました。
膠原病の特徴
- 膠原病は全身性の病気
一つだけでなく多くの臓器が侵されます。とくに血管の豊富な腎臓、肺などは障害を受けやすい臓器です。膠原病の中には眼、耳、鼻、口腔の症状を呈する病気もあります。 - 膠原病はリウマチ性の病気
皮膚、筋肉、関節、軟骨など運動器官の障害を生じます。とくに慢性関節リウマチでは、関節の変形、破壊が進みますと日常生活が不自由になります。 - 炎症性の病気
全身性あるいは局所の急性ないし慢性の炎症を伴います。全身症状としては、発熱、疲れやすさ、倦怠感、体重減少などがあげられます。発熱は高熱のことも微熱のこともありますが、しばしば発熱の原因が分からず「不明熱」として取り扱われることがあります。 - 自己免疫の病気
本来「免疫」という現象は、外界からの異物(とくにウイルス、細菌など感染症をもたらす病原体微生物)に対して、自分のからだを防御するために抗体を作り出すシステムですが、ときに自己のからだの成分に対して抗体が作られることがあります。この抗体を自己抗体、自己抗体が作られる現象を自己免疫によって起こる病気を自己免疫病と言います。膠原病の多くは種々の自己抗体が証明され、自己免疫病と考えられています。 - 軽快と悪化を繰り返す慢性疾患
病気により進行の速度は違いますが、悪化を繰り返すたびに、障害が固定して元の状態に戻らないこともあります。
おわりに
多くの膠原病は女性に発病しやすい傾向がありますが、全身性エリテマトーデスのように若年期に高熱など激しい症状で発病するものもあれば、シェーグレン症候群のように自覚症状のない潜伏期間が相当あり中年期になって眼、口腔の乾燥症状で発見されるものなど症状は病気によっていろいろです。どのような病気でもそうでしょうが気になる症状がありましたら、まず「かかりつけの先生」に受診されて膠原病の疑いがあれば「専門医」へ紹介していただくことが治療の時期を逸しないためにも大事だと思います。
表1・膠原病にはどのような病気があるか
- 全身性エリテマトーデス
- 強皮症
- 多発性筋炎
- 皮膚筋炎
- 結節性多発動脈炎
- 慢性関節リウマチ
- 混合性結合組織病
- シェーグレン症候群
- ベーチェット病
- 側頭動脈炎など血管炎症候群
- リウマチ性多発筋痛症
- その他
表2・膠原病に多い初発症状
- 原因不明の発熱(微熱・高熱)
- 全身倦怠感、易疲労性、体重減少
- 関節通、関節炎
- 筋肉痛、筋力低下
- 皮膚
- 粘膜の発疹、脱毛、日光過敏
- レイノー現象(寒冷刺激で手指の色が蒼白になる)
- リンパ節腫脹
- 浮腫(むくみ)、蛋白尿
- 咳、息切れなど呼吸器症状
