シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.4 乳がんのリスクファクターと予防

外科(部長)荻野 信夫

大阪府の年間乳がん罹患率は10万人あたり40人で毎年増加傾向にあり、つい最近胃がんを凌駕して女性の癌の一位となりました。それでも欧米白人に比べると1/5-1/4程度にすぎませんがライフスタイルの欧米化とともに増加、特に閉経後の乳がんが増加するものと考えられます。

乳がん発症の危険因子をあげると、(1)初経年齢が早い、(2)出産歴、授乳歴がない、(3)閉経年齢が遅い、(4)閉経後の肥満、高身長があげられます。 また、乳がん一次予防の面から食物、栄養との関連をみるとアルコール、総脂肪はリスクを上昇させ、野菜、果物、適度の運動はリスクを低下させると報告されています。

一方乳がんの二次予防としては乳がん検診があります。わが国では長い間、諸外国に例をみない視触診のみの検診を行った結果、明らかな死亡率減少効果は証明されず、その有効性は不十分であるとされました。しかし、乳がん検診にマンモグラフィーを導入した欧米諸国の検診の成績では50歳以上で23%の死亡率減少効果が認められ有効とされました。今後、市町村の乳がん検診にマンモグラフィーが順次取り入れられるものと考えられます。当院の健診センターでも専門医の視触診による健診を行った結果、開設後4年間で要精検者117名(4%)で乳がん発見は5名(0.17%)でありました。この発見率は他の報告と差はないがさらに高い発見効果を得るためには画像診断との併用が不可欠と考え、当健診センターでは昨年よりオプションとして乳房超音波検査を追加しております。

以上乳がん検診の重要性を述べましたが、乳がん早期発見に最も大切なことは何といっても自己検診の励行と考えます。実際乳がん患者の9割が自分自身で乳房の異常に気づいており、早期乳がんの発見には毎月一回の触診と視診による自己検診が最も重要と考えられます。そして、しこりや異常乳頭分泌がある際には間髪を入れず、恐れずに乳腺専門外来を受診して下さい。早期乳がんであれば転移の心配もなく、乳房を温存する治療法を選択することができ、治癒が十分期待できます。自己検診について方法が良くわからない方は当院外科外来に小冊子がありますので、お気軽にお申し付け下さい。

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