シリーズ病気 No.5 腰痛
整形外科(部長)久貝 充生
腰痛について
"腰痛は現代病"といわれるほど、たくさんの方が腰痛に悩んでおられます。(実は私も腰痛で悩む一人であります。) 腰痛の原因は多種多様でありますが、残念ながらすべてその原因がわかっているわけではありません。私どもの外来に来られる腰痛患者さんの中にも科学的にはっきりとした原因が特定できず、"腰痛症"とのみ診断名を付けざるを得ない場合も時にあります。 腰痛の原因究明のために、いたずらに検査を繰り返すことは慎まなければなりませんが、次のような症状の腰痛は、特に注意と精査が必要と考えておりますのでご参考にして下さい。
腰痛だけでなく下肢に痛みやシビレ、脱力感をともなう場合
腰の骨は体重を支えるだけでなく、脳から下肢に走る神経の通路でもあります。腰の骨や椎間板(腰骨と腰骨の間にあって、体重を支えるクッションの役目をはたす軟骨)が変形したり破綻したりすると、これらが神経を刺激するようになります。その時は腰痛だけでなく、下肢の痛み(いわゆる坐骨神経痛など)やシビレ感が生じます。病状が進むと運動の神経まで障害され下肢の麻痺が起こります。安静時にも下肢の症状がある場合には椎間板ヘルニアなどが、また運動時にひどくなる場合には腰部脊柱管狭窄症などが疑えます。また、腫瘍ができて腰の神経を圧迫しても下肢の症状が起こります。
ぎっくり腰をたびたび繰り返すとき
年に数回、臥床を強いられるほどの腰痛発作を起こす場合は、腰の骨の体重支持機構が障害されていると考えられます。(腰椎不安定症、腰椎分離辷り症など)
小児、学童期の腰痛
育ち盛りの子供が"腰が痛い!"なんてことはあまり言わないものです。でも、育ち盛りの腰の骨だから起こる障害(腰椎分離症や椎体の軟骨障害)もあります。
高齢者の腰痛
お年寄りの骨はもろくて折れやすい事はよくご承知だと思います(骨粗鬆症)。転倒などの外傷が無くても腰の骨が折れることはよくあります(脊椎圧迫骨折)。腰痛が寝たきりのきっかけになることも!
発熱をともなう腰痛
ばい菌による脊椎の炎症では、発病当初は発熱が前面に立つ場合も多くあり、腰痛が副次的なものとして見逃されることもあります。
腰痛が動作時以外に安静時や夜間にも起こる場合や、増悪する場合
ほとんどの腰痛の原因は、腰の運動と体重の支持機能が故障して起こると考えられます。ですからほとんどの場合、安静にして寝ていれば(一時的にしろ)痛みが軽減します。もしそれでも痛みが軽快しない場合には、腰の骨や腰の神経の腫瘍、脊椎の炎症、内臓疾患から来る腰痛(尿路結石や婦人科的疾患)などが疑えます。
腰痛が突然おこり、激烈な場合
突然に激烈な腰痛が起こった場合には、腰の骨以外、すなわち内臓器や大血管の障害も疑えます。 たとえば解離性大動脈瘤が破裂した場合や卵巣の捻転、尿管結石などで強い腰痛を感じることがあります。
内臓の癌の手術を受けた事がある方の腰痛
癌が腰の骨に不幸にも転移した場合、最初の症状は腰痛や下肢の痛みです。
※疑心暗鬼になりすぎるのはよくありませんが、これらの腰痛に思い当たる節がある方は、一度診察ならびに精査を受けてみて下さい。
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