シリーズ病気 No.7 小児の発熱について
小児科(部長) 片岡 知
高熱でもそのままほっておいて大丈夫なのか?
普通の風邪で体温が41~42℃以上になるこはありません。その範囲の熱であれば、熱のために頭がおかしくなることはありません。髄膜炎や脳炎で高熱を伴い、脳に障害を起こす事がありますが、それは病気そのもののためであって、熱のためではありません。細菌やウイルスに感染した時に発熱するのは、生体にとって有利な反応で、熱が出ることによって病原体が体の中で増殖するのを妨げ、免疫力を強くすると言うことがわかって来ました。
解熱剤は使ってはいけないのか?
39℃以上の熱が続く時、体力の消耗を和らげるために、一時的に解熱剤を使用してもかまいません。解熱剤の目標は、体温をせいぜい1度ぐらい(40度なら 39度程度)下げることにあります。それでかなり楽になるはずです。その間に水分や栄養をとらせます。もとの病気が治っていない時は、数時間の経過で体温は上下します。
ただし、次の事を知っておく必要があります。
- 解熱剤を使っても病気は早く治りません。
- 副作用が出ることもあります。このためインフルエンザや水痘では、使ってはいけない解熱剤があります。
- 自然の熱の経過がわからなくなります。
- 子供は少し元気になると、無理をしてしまいます。また、無理をさせるために使うものでもありません。
この様な理由で、風邪などでは解熱剤を使用しない医師が増えています。
解熱剤を使わず、熱をさげる方法はないのか?
- 発汗などによる正常な体温調節を妨げないように、部屋の換気を良くし、悪寒がなければ薄着にして、体に熱がこもらないようにする。
- 水分を充分にとらせて、脱水にならないようにする。
- 部屋の温度は、冬は18~20℃位、夏は冷房が可能なら26~28℃位を、湿度は60%前後を目安に調節する。
- 汗をかいたら、こまめに、ぬるま湯などで体を拭いて、下着をかえる。氷枕や市販のおでこに貼るシート等で冷やしても、そんなに熱は下がりません。不快な気分を和らげると言う効果はありますが、嫌がる場合は無理にする必要はありません。わきの下やふとももの付け根を冷やす方が解熱の効果はありますが、一般の家庭ではあまり行われていません。スポンジングといって、30℃程度のぬるま湯にタオルを浸し、軽くしぼって脇の下から胸、腹部、背中など、マッサージをするように交互に20~30分間拭いてあげるのが安全で確実な解熱方法です。
熱性けいれんの既往のある子に解熱剤を使っても良いのか?
まず、熱性けいれんの予防のために解熱剤を使っても、効果は期待できません。解熱剤を使って、かえってけいれんを誘発すると言う考えも有ります。しかし、熱性けいれんを起こした児の約7割は1回だけの発作で、それ以後に熱が出てもダイアップ坐薬で予防をしなくても発作は起こりません。しかも大抵の場合、単純型の熱性けいれんであってもダイアップで予防されていますので、解熱剤の使用にはそれほど神経質にならなくても良いと思います。発熱時にダイアップの指示を受けている児はダイアップを優先させ、どうしても必要な場合は、ダイアップと解熱剤は30~60分以上あけて使用します。
夜中に熱が高くなったけれど、救急で診てもらわなくても良いのか?
熱が高いだけで多少機嫌が悪いが、普段と様子がそんなに変わりがないのなら、救急で診てもらわなくても良いでしょう。朝まで待ってから、診察を受けても大丈夫です。
ただし、こんな時には夜間でも至急に診てもらって下さい。
- 激しく吐きだした。
- 顔が青白く息苦しそう。
- ぐったりして周囲に反応を示さない。
- 初めてひきつけを起こした。
