シリーズ病気 No.9 性感染症について
産婦人科(医長) 伊藤 彰子
1.最近の動向
性感染症(STD)にはクラミジア・トラコマチス、淋菌のほか各種のウイルスによるさまざまな疾患があります。最近は症状が軽いものが流行していることから、感染部位が性器以外の場所に広がる傾向があります。特に若者の間では性器クラミジア感染症が急増しています。無症候性感染が増え、STDの重複感染 (クラミジアと淋菌、クラミジアとヘルペス、クラミジアとトリコモナスなど)もよくあります。STDは一般社会、家庭の中へ広がりつつあり、誰もが感染する可能性があることから、日頃から注意が必要です。
2.STDの種類
(1)性器クラミジア感染症
クラミジア・トリコモナスによるものです。女性では子宮頸管炎、男性では尿道炎を起こします。女性ではさらに子宮付属器炎、肝周囲炎を起こしたり、その結果として不妊症や子宮外妊娠を引き起こします。子宮頸管炎は男性の尿道炎より症状が軽い為、おりものが多少増えたと思う程度で感染したことが自分でわからないことが多い為、さらにクラミジア感染者の数を増やしています。
(2)性器ヘルペス感染症
単純ヘルペスウイルスによるものです。性器に浅い潰瘍または水泡ができます。初感染は症状が強く、すでに潜伏感染しているウイルスの再活性化により再発するものがあり、これは症状が軽いです。
(3)膣トリコモナス症
トリコモナス原虫により起こります。おりものの増加とおりものによる外陰のかゆみ、熱感、痛みがあります。また膀胱炎症状があることがあります。他のSTDと比べ、若年層~中高年層と罹患年齢幅広く、治療の不徹底による再感染が多く見られます。
(4)淋菌感染症
男性では尿道炎、精巣上体炎、女性では子宮頸管炎を起こします。無症状のものも増えていて、クラミジアとの混合感染が多く見られます。
(5)尖形コンジローム
ヒトパピローマウイルス感染によります。膣内や外陰部に乳頭状腫瘤ができます。
(6)梅毒
梅毒トレポネーマの進入部位の皮膚や粘膜に小豆大から示指頭大までの軟骨様のかたさの硬結ができ(初期硬結)、その中心部に潰瘍ができ周囲が硬く盛り上がります。(硬性下疳)。男性では亀頭部などにでき、女性では大小陰唇や子宮頸管にできますが、女性の場合は気づかないことが多いです。これ以降血行性に感染が広がり発熱・全身倦怠感・関節痛などの全身症状が起こります。 これ以外に、エイズ感染やカンジダ感染症などがあります。
3.STDの治療と予防
身近な疾患であることを認識し予防することが大切です。おりものが多かったり、かゆみがあるなど、おかしいなと思われる症状があれば早めに婦人科を受診し、検査を受け、感染がわかったら、パートナーとよく話し合いお互い治療を受けることが大事です。コンドームの使用が勧められますが、コンドームでも完全にSTDを防御できるとは限りません。尖形コンジローム、性器ヘルペスなどは防げない場合があります。
▲ ページの先頭へ戻る
