シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.11 本態性高血圧

眼科(部長) 濱田 陽

「お医者さんにもわからない自分の眼底血管、ミクロの世界」

60歳という自分の人生の節目になる年齢。今までは自分は元気だと思って、会社あるいは家庭で仕事をしていた御主人や奥さん。日頃の疲れがたまっていたのか、フラッとして病院に駆け込み、血圧を測ってもらったところ、血圧が急に上がっており、お医者さんから「高血圧です!」と言われ、日頃の不摂生、肥満、親からの遺伝因子を考えれば、「自分もそのような年齢になっていたのか!」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。「これといって特に悪い病気もなかったのに・・・・!」 このように特に原因となる疾患がなく、中年を過ぎたころに血圧が上昇してくるのは以前より「本態性高血圧」と診断され、現在も高血圧症の9割近くを占めると言われています。この本態性高血圧は眼底検査で1~4度に分類されています。今より約60年以上も前、1939年にアメリカのMayo Clinic  のKeith(内科医)とWagner(眼科医)が中心となって本態性高血圧の眼底変化を悪性高血圧と良性高血圧に分類したのです。腎不全に陥り、急速に重篤な経過をとる一群、すなわち悪性高血圧の症候群の眼底変化を明らかにしたのです。高血圧が悪性期に入ったことを示す眼底所見、網膜血管(約200ミクロン以下、1ミクロンは1/1000mm、要するに1mmの1/5以下)からの血管漏出、血管閉塞、視神経乳頭浮腫を示すと高血圧が悪性期に入ったことを示すと考えられてきましたが、現在は治療の進歩によって可逆性であることも知られるようになってきました。最近では正常の腎臓からでるレニンというホルモンが高血圧に大きな役目を果たすことが知られるようになってきており、このホルモンを調節する高血圧の薬が心疾患にも効果があることが実証されてきています。いままで酷使してきた自分の体を今一度ふりかえって、いたわって手入れをして、また60歳以降の人生を再出発されてはいかがでしょうか?

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