シリーズ病気 No.14 形成外科で、できること・できないこと
形成外科(副医長) 田嶋 敏彦
1.はじめに形成外科とは?
形成外科は,人間のからだの一部が損なわれたときに,できるだけ正常に近くつくり直す外科です。言い換えれば,「生まれつきの形態異常や,事故やがんの手術などにより身体表面に生じた変形を,形態的にも機能的にも修復すること」を目的としています。
こうした手術は古くからあり,耳の手術は耳鼻科で,眼の手術は眼科でというように,損なわれたものをつくり直すことに興味のある医師の,個々の努力によって行われていました。しかし,このような手術を行うにあたっては,専門的な知識と幅広い経験が必要となります。そのため,興味を持つ医師が他の診療の片手間に行うよりも,独立させたほうがよいということになり,昭和33年に「形成外科学会」が設立されました。
当院でも以前より外科外来で週に1回,形成外科医の診察日がありましたが,平成15年4月より形成外科が診療科として独立し,月曜日から土曜日まで毎日診察を行っています。(第1,第3土曜日を除く)
2.形成外科の治療対象
形成外科が扱うのは大きく「外傷」 「腫瘍」 「先天異常」 「美容」の分野に分かれます。
「外傷」
顔面の外傷(軟部組織損傷,顔面骨骨折),四肢の外傷(切り傷,まきづめ等) 熱傷(やけど),熱傷後瘢痕拘縮(やけどの後のひきつれ) 肥厚性瘢痕・ケロイド(手術痕,きず痕),褥瘡(とこずれ),難治性皮膚潰瘍など
「腫瘍」
皮膚良性腫瘍・軟部組織腫瘍(皮膚のできもの,いぼ,ほくろなど) 皮膚悪性腫瘍,頭頚部悪性腫瘍切除後の再建手術 乳がん根治術後の乳房再建術など
「先天異常」
顔面領域の先天異常(口唇裂,口蓋裂,眼瞼下垂,耳介変形(副耳,小耳症,埋没耳など)) 手足の先天異常(多指(趾)症,合指(趾)症など)
「美容」
二重まぶたや顔の皺とり手術などがありますが,当院では美容外科治療は行っていません。
3.治療にあたっての注意点
形成外科は,外科的手段で形態を修復するわけですが,次のような事柄に注意が必要です。まず,人間のからだにメスをいれると傷跡が何も残らない場合はありません。すなわち,まったく正常な形に復する手術はありえないのです。次に,形成外科では皮膚移植など組織の移植を行うことが多く,組織の採取部に必ず傷跡を残すことになります。したがって,組織移植を行うための犠牲に比較して得られる成果が大きく,「全体として,患者さんに有益である」と判断した場合のみ,手術を行います。また,手術は生身の体にメスを加えるのですから機械の製造とは違って,同じ手術を行っても,結果は必ずしも同じにはなりません。体質的に傷跡がケロイドになりやすい人や,移植した組織が生着しにくい人もいます。そして,患者さんは手術をすればすぐにでもよい形状になると思いがちですが,手術後の結果が安定するまでにかなり長い年月を必要とします。単なる傷跡を治すにしても,手術後,傷跡がきれいになるには1年以上かかります。最後に,生まれつきの形態異常は別として,どんなに醜い形状であっても本人が「それを治そう」と思わなければ,必ずしも手術をする必要はありません。そのため,形成外科の手術に際しては,まず「患者が治療を望んでいる」こと,「治療によって,現在の状態より必ずよくなる」という前提が必要です。そのためには,手術によるプラスの面とマイナスの面を説明し,十分納得していただいてから手術を受けていただきます。
4.レーザー治療について
形成外科では4月よりレーザー治療装置を導入いたしました。青あざ,茶あざ,そしてシミに効果のあるQスイッチルビーレーザーと,ほくろやいぼの治療が可能な炭酸ガスレーザーです。ただし,治療の効果や,費用は疾患により異なりますので,詳しいお問い合わせは形成外科外来まで。
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