シリーズ病気 No.16 糖尿病
内科(医長) 山本 浩靖(やまもと ひろやす)
糖尿病ってどんな病気?
「糖尿病」とは、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの作用不足のために慢性的に血液中の糖分(血糖)が高くなり、全身に様々な合併症を引き起こす病気です。
日本人と糖尿病
日本で「糖尿病」と診断されている方は690万人、その予備軍とされる方はほぼ同数存在するとされ、40歳の10人に1人は糖尿病といわれます。さらにその数は年々増加の一途を辿っています。
糖尿病の頻度は欧米に比べて低いのですが、予備軍の頻度は高いというのが日本の特徴です。これは環境の変化(食事の西欧化など)による糖尿病人口の増加の前兆ともいわれています。様々な遺伝子の解析から、日本人は糖尿病になりやすい素因を元々持っていることが明らかになっており、従来の「和食」が糖尿病の予防に大きな役割を果たしていたといわれています。脂肪分の多い最近の食事は見直したほうがよさそうですね。
糖尿病の症状とは・・・
糖尿病は「血糖が高い」、「尿に糖分が出ている」など、検査で見つかることが多い病気です。ひどい場合には「おしっこが多い」とか「のどが渇く」、「体重が減ってくる」、等といった症状が出ることもありますが、初期にはなかなか症状が出にくい病気です。そのために放置されやすいのですが、放っておくと、しばらくしていろんな臓器に合併症が出てきてしまいます。糖尿病が厄介な病気であるのはそのためです。
糖尿病の合併症とは・・・
糖尿病は「血管の病気」ともいわれますが、血管は全身をくまなく網羅していますので、いろんな臓器に合併症がみられます。小さい血管を中心とした合併症は目(眼底出血など)、じん臓(タンパク尿など)、神経(足のしびれ・痛みなど)に出てきます。一方、大きな血管を中心とした合併症は心臓(狭心症、心筋梗塞)、脳血管(脳梗塞)などに出てきます。糖尿病の方は正常の方に比べて、こういった合併症が起こりやすいため、注意が必要です。
糖尿病の検査とは・・・
糖尿病の合併症を予防する、あるいは進行を遅らせる意味でも血糖値や血圧などのコントロールが大切です。血糖値は食事によって大きく変動しますので、「HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)」という過去1~2ヶ月の血糖値の平均を示す指標をよく用います。HbA1cを6.5%未満にコントロールすると、小さな血管の合併症の予防につながると考えられています。一度、自分のHbA1cを見直してみましょう。でも血糖値やHbA1cだけでは、合併症の状態はわかりません。血液や尿の検査だけでなく、心電図や頚動脈(首の動脈)・心臓の超音波検査、手足の血圧測定などでの動脈硬化のチェックや、眼科受診なども定期的に行っていきましょう。
糖尿病の治療とは・・・
このように、糖尿病の治療の目標は「良好な血糖コントロール」だけではなく、「合併症の予防・治療」も含みます。食事療法・運動療法が基本ですが、場合によっては血糖コントロールのための糖尿病の薬や合併症予防・治療のための薬が必要になることもあります。血糖値だけでなく、合併症の程度などについても主治医の先生と相談して、治療に役立てていきましょう。
富田林病院では月に1回「糖尿病教室」を開催しています。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、栄養士、理学療法士などが毎月違ったテーマで糖尿病にまつわる話をしています。一度来てみてくださいね。
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