シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.19 日常生活において何か症状はありませんか?

産婦人科(部長) 斎藤 謙介(さいとう けんすけ)

最近では、医療現場において病気に対する治療をすることを目的に医療行為が行われるだけでなく、患者さんの生活の質の向上を考えた処置、及び治療を行うよう配慮されて来ました。婦人科医療に携わっている私たちとしては、女性の生活改善のため次のようなことを常に頭に置きながら治療方法を選択しています。

  1. ホルモンの周期的な変化に合わせて出てくる症状
  2. 更年期に起こる症状およびその時期のホルモン低下によって起こる疾患
  3. 手術及び悪性腫瘍においては妊娠できるように考慮した傷の小さい、痛みの少ない、早く退院できる治療および手術・麻酔への不安を除けるように考えています。

まず、月経困難症と月経前症候群はほとんどの女性が初潮から程度の差はあるとしても経験していることでしょう。前者は、生理時に下腹部痛・腰部痛を起こし、ひどければ頭痛・吐き気・失神を伴って寝込んでしまい日常生活に支障をきたすほどです。その原因には、子宮発育不全・頸管狭窄・子宮筋腫・子宮内膜症・骨盤内炎症などがあります。後者は、生理前3~10日ごろから浮腫・いらいら・頭痛・乳房腫脹・乳頭過敏などが起こり、生理の開始と共に消失・減退し軽症では問題はありません. 今回は、原因となる子宮筋腫と子宮内膜症についてお話します。

子宮は、正常では鶏の卵より少し小さいぐらいの大きさで、筋肉で出来ていています。その内腔(胎児が育つ場所) は内膜で覆われ、生理時にそれが剥がれ落ち血液と供に排出されるのです。また、その筋肉表面は腹膜からつながっている膜に覆われています。子宮筋腫はその筋肉層から発生する良性の腫瘍で治療を必要としない筋腫も含めると20~30%の女性に認めます。

おもな症状は、生理が多かったり、長引いたり、生理痛が強かったりで、著しい貧血を引き起こしますが、なにも症状がなく"最近お腹が出て来て何かが触れる "と言って来院される方もいます。大きなものでは大人の頭くらいの方もいます。これらの症状は筋腫の出来ている場所によって違ってきます。特に、内膜近くに出来るものは小さいものでも強い症状を起こします。貧血も正常の半分以下までなっている人も珍しくありません。

では、筋腫があればすぐ手術とか治療が必要かといいますと、大きさが握りこぶしを超えるようであれば手術を勧めることになりますが、それ以下ならば、症状・他の臓器への障害に応じて薬物治療を行いますが、定期的な検診だけでよいものもあります。しかし、粘膜下に出来た筋腫の場合は1~2cmぐらいでも生理の量を多くし重症の貧血となりますし、不妊症の原因でもあり、また妊娠したとしても流産を起こしやすいのです。そのため積極的に手術を勧めています。手術の方法は筋腫の出来ている場所から、お腹を切らない子宮鏡下の手術です。

薬物治療は、女性ホルモン値を更年期と同じぐらいまで下げることで筋腫の増大を抑え、更には縮小を量るもので、そのため生理は止まってしまいます。また、更年期障害様症状を引き起こす欠点があります。

次に、子宮内膜症は最近増えてきたと言われていますが、その背景には少子化が関与しています。内膜症は内膜組織が子宮内腔以外の場所で増殖して、生理時のホルモン変化によりそこで出血性炎症変化を起こし、疼痛・癒着または嚢腫を形成することもあります。内膜組織は女性ホルモンにより発育増生するので、薬物治療には筋腫と同じ治療が行われます。しかし、お腹の中での内膜症の進行状態は、卵巣嚢腫を伴った症例以外は内診・画像診断でも判断しにくいことが多いので、最近ではまず腹腔鏡手術によるお腹の中の観察をして治療を選択するように勧めています。

このように、症状・所見により治療はいろいろ選択することができるようになって来ました。貴方自身納得のいく治療を選択できるように気楽にご相談ください。

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