シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.20 外反母趾(がいはんぼし)

整形外科(医長)  米田 岳史(こめだ たけし)

黒船とともにそれはやって来た!

江戸時代以前の日本において、外反母趾はほとんどなかったと言われています。それが、文明開化とともに靴というものが入ってくるようになり(桂浜の坂本竜馬の銅像も既に靴を履いています)、第二次世界大戦後の高度成長期に生活様式が洋風化して靴を履く機会が多くなるとともに外反母趾になっている人も増えてきているので、近代化がもたらした病気と言えるでしょう。

親趾の先が身体の中心からみて外へ曲がって、趾の付け根が出っ張って見えるものを外反母趾と言います。レントゲンで見ると足の骨が内側へ広がって先の骨が外へ引っぱれて、くの字型に親趾が曲がっています。特に踵が高く先の狭い靴を履くと先が曲げられてしまい、初めは靴を履いた時に痛くなって、ひどくなると靴を脱いでも痛みが残るようになります。更にひどくなると親趾が二番目の趾の下に潜り込んでしまう事も有ります。

パンプスやハイヒールをよく履く女性がなりやすく、男性1人に対して女性が10人の割合で起こってきます。また、足の形も関係していて、日本人に多い親趾が一番長い足(エジプト型)は西洋人に多い二番目の趾が長い足(ギリシア型)に較べて外反母趾になりやすいようです。ギリシア型をモデルにしている先の尖った靴にエジプト型の足を無理にあわせているので余計に足が変形してしまうことも関係しています。

中高年になって、足の裏の筋肉が弱くなり体重が重くなってアーチが低下して、土踏まずが無くなってきている人も外反母趾になっている事が多く見られます。中には、中学生の頃からなる人もおられますが、それは主に遺伝的なものが関係していて、両親や祖父母にも外反母趾が見られる事が多い様です。これらの事から、外反母趾にならないように気をつけるためには、ハイヒールやパンプスなどの踵が高く先の細い靴をなるべく履かないようにする。例えば、フォーマルな会や仕事でどうしても履かなければならない時などは、その場所までは踵の低い靴を履いて行き、その場所だけ履くような工夫をする事です。また、普段履く靴も先があまり細く無くて自分の足にぴったり靴を選ぶようにすることも重要です。最近は、靴屋によってシューフィッターを置いている店もあるので、自分にあった靴を見つけるのに相談してみるのも良いでしょう。

外反母趾を予防する体操としては、タオルを足の下に置いて趾で手繰り寄せたり、爪先立ちをして足趾の筋肉を鍛え土踏まずを作るようにすることや右と左の親趾にゴムを挟んで引張たりするものがあります。 医療用装具として親趾とⅡ趾の間に挟み込むものや、アーチを作る靴敷のようなものがあり、痛みが軽減する事が有ります。

それでも変形で痛みがおさまらない場合には手術を行う事になります。手術として何種類かの方法が有りますが、基本的には内側へ広がっている骨を骨切りして真直ぐになるように調節した位置で金属を用いて骨を固定することになります。入院は3週程で、踵で歩いて退院してもらうことになります。

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