シリーズ病気 No.22 血液透析について
内科(部長) 河島 利廣 (かわしま としひろ)
人の体の大事な臓器のうちで、末期の慢性○不全とついて治療法があるのは腎臓だけです。他の臓器は末期の○不全とつけば通常の治療法では回復不可能で、臓器移植しかありません。臓器移植以外の方法で健康を維持できるのは腎臓だけです。
腎臓の働きが悪くなり、血液透析が必要と説明すると、殆どの患者さんが、信じられないという顔をして「嫌です」とか「まだ大丈夫です」とやんわりと断られる事が時々あります。透析は絶対にしませんと拒否される人もいます。何度も粘り強く説明を続けることから治療が始まります。幸いな事に最後まで透析を受けないで不幸な結果になったというケースは一例もありません。
それでは、透析を受けるためにはどんな準備がいるのでしょうか。血液透析は十分な血液(一分間に180ml以上)を取り出し、ダイアライザー(透析膜)という膜を通し綺麗にして体に戻します。大量の血液を取り出すには普通の静脈の血管から取り出してもまったく足りません。動脈の血管を穿刺すればいいのですが、動脈は深いところにあるので、穿刺困難、しかも止血困難で何回も使用できません。
そこで、内シャント造設が必要になります。内シャントとは回り道、バイパスと言う意味です。通常、腕の橈骨動脈と橈骨皮静脈をつなぐ手術で利き腕と反対側に作ります。シャントさえあれば、いつでも快適に透析をすることができます。
2002年度末、全国には、229,500人の透析を受けている患者さんがおられます。全国的集計が始まった1968年には212名でした。では、血液透析導入となった原疾患は何が一番多いでしょうか。それは糖尿病です。血液透析導入の患者さんの約40%弱を占めます。第二位が慢性腎炎です。1998年に一位と二位が逆転しました。それまでは、慢性糸球体腎炎が第一位でした。糖尿病による腎不全が急激に増えて、これからの腎不全対策の一番の重要項目です。
慢性腎不全になり、血液透析を避けるためにはどうすればいいのでしょうか。 食事療法を実施します。たんぱく質の制限です。体重当たり0.6g~0.8g/kgのたんぱく質を摂取するようにします。カロリーも2000カロリーは必要です。体重が減らないことをチェックして下さい。食事療法がうまくいっていれば、体重は増減しません。
しかし、糖尿病があるなら厳格な血糖コントロールが必要です。カロリー計算してカロリー過剰にならない食事内容に努めて下さい。食事 次項へ療法を理解するには、栄養士の指導を受け基本を知ることが大切です。さらに、大事な事は血圧のコントロールです。125/75以下にするのが目標です。そのためにも塩分の制限も大切です。また、最近は降圧剤で腎機能を保持する薬もあります。新しい薬として消化管で分泌されたり、腸内で産生される腎不全の毒素を吸着して便と共に排泄して、腎不全の進行抑制する薬もあります。そういう薬を服用して、できるだけ腎機能を保つようにします。
腎臓が悪いというと周りの人々が心配され善意で色々と本人にアドバイスされます。例えば水分をたくさん飲めば腎機能が良くなって治ったとか。そんな話を聞けば誰でも、心が動きます。それで、大量に水を飲んで呼吸困難をきたして、透析導入になったというケースもあります。治療は病気の時期によって変わるので最初は正しい治療法でも途中からしてはいけない治療となることもあるので注意が必要です。
今後、血液透析の治療法はどんどん変わっていきます。透析のとき使う透析膜も進化して能率のいい生体適合性の優れている合成膜も開発され、より快適に透析が出来るように変わってきており、これからも、環境を整えて快適な透析が出来るように努めていきたいと考えています。
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