シリーズ病気 No.23 大腸がん
外科(副部長) 長谷川 順一 (はせがわ じゅんいち)
大腸癌(がん)とは?
食事を口から肛門まで運ぶ管のことを消化管と言います。大腸はこの消化管の最後、つまり肛門に近い部分の約150cmにあたります。
大腸癌とは大腸の壁の最も内側の粘膜に発生した悪性細胞が、時間の経過とともに徐々に大きくなったものです。この経過である程度大きくなると、癌細胞が血液やリンパ液の流れにのって、他の離れた部位に広がる転移という現象が起こります。
従来、大腸癌は日本人には比較的少ない病気でしたが、この20~30年間に急速に多くなった病気で、将来の予想としては、2015年には大腸癌が、癌のなかで最も多くなると考えられています。
このように日本人に大腸癌が急増しているのは、食事内容が西洋化したことが主な原因と言われています。
大腸癌を予防するには
一次予防(発病の予防)
大腸癌を予防するための食生活とは
1)脂肪の摂取量を少なくしましょう!
大腸癌予防には、脂肪から摂取するカロリーが総摂取カロリーの18~22%とするのが良いと言われていますが、これは1965年(昭和40年)から 1975年(昭和50年)にかけての食事内容です。摂取量から考えると、普通の運動量の成人では、1日50g程度に制限することとなりまが、ファーストフードのハンバーガー1個の脂肪量が約40gですから、現在の日本人の食生活を考えるとなかなか難しくなっています。逆に動物性脂肪の中でも、魚に含まれる不飽和脂肪酸は、大腸癌の予防につながると考えられています。よって肉類・ファーストフード・レトルト食品などからの脂肪の摂取量をなるべく少なくして、魚を食べるようにすることが大腸癌予防となります。
2) 食物繊維を多くとるようにしましょう!
野菜に多く含まれる食物繊維は、便秘を解消することにより、糞便の大腸通過時間を短くし、発癌物質との接触時間を短くすることにより大腸の発癌を抑制すると考えられています。 次項へ
3) 抗酸化作用のある食品を多く摂りましょう!
緑黄色野菜にはβカロチンなどの抗酸化作用のある物質が多く含まれており、これらは癌の発生要因の一種である活性酸素を抑制し、癌の発生を抑制するのではないかと考えられています。その他にも柑橘類に含まれるビタミンCやゴマの成分にもこの抗酸化作用が認められます。
4) カルシウムを多く摂りましょう!
カルシウムは大腸癌の促進因子である脂肪酸や胆汁酸と反応して不溶性の塩類を生じ、その発癌作用を抑制すると考えられています。
5) 乳酸菌飲料を飲みましょう!
腸内に善玉菌である乳酸菌を増やすことは、便通不整やガスの貯留を改善し、大腸癌を予防することにつながると考えられています。
以上より、大腸癌を予防する食生活は、肉食を控え気味にして、できるだけ野菜(特に緑黄色野菜)・柑橘類・低脂肪・乳酸菌食品を摂取するよう心がけることと考えられます。
二次予防(早期発見、早期治療)
大腸癌は早期発見が可能で、早期治療により完治する可能性の非常に高い癌です。早期発見のための最初の検査が、便潜血検査です。便潜血陽性者のうち、約半数は痔核によるものですが、40~50人に一人の割合で実際に大腸癌が見つかります。
大腸癌の症状は?
早期大腸癌には自覚症状はほとんどありません!腫瘍が少し大きくなってくると、便に血液がつく、便をしたのに残っている感じがする、便が細くなる、下痢を繰り返す、粘液がでる、お腹が張る、なんとなくお腹が痛い、お腹にしこりを感じる、貧血があるなどの症状が現れます。
大腸癌の診断と治療は?
大腸癌を早期に、しかも正確に診断するには大腸内視鏡検査が必要です。これは先端にテレビカメラのついた直径13mm程度の細い管を肛門から直接腸の中に入れテレビモニターで腸の中の様子を観察する方法です。この方法であれば、きわめて小さな病変も確認できますし、ポリープやごく早期の大腸癌であれば内視鏡下に切除することもできます。当院では正確な診断、患者さんに苦痛を与えないことをモットーとして、内視鏡専門医を中心に大腸内視鏡検査を行っておりますので、安心して受けて頂けます。また大腸内視鏡検査の結果、手術が必要な状態であったとしても、腹腔鏡補助下手術から開腹術による広範囲大腸切除まで、どのような病態にも対応できる体制にあります。
終わりに
どのような疾患でも同じことが言えますが、早期発見をすることが、体に優しい方法でしかも完全な治療が可能となります。大腸癌に関しては、まず一度便潜血検査を受けられることをお勧めします。 当院では、平成16年4月より、毎週金曜日に大腸・肛門外来を開設しております。 何か気になる症状があれば、お気軽にご相談下さい
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