シリーズ病気 No.29 最近の乳がん治療について
外科(副院長) 荻野 信夫(おぎの のぶお)
2年前のこの欄で乳がんの二次予防として自己検診の重要性について述べさせていただきましたが、今回は乳がんの治療についてご説明させて頂きます。
乳がんの治療は4つの柱からなります。
- 手術
- 放射線治療
- 化学療法
- ホルモン療法
以上の四つですがどれかひとつだけ での治療では不十分で大概は組み合わせて治療し、これを集学的治療と呼んでいます。
手術
まず最初に手術治療ですが、乳房を温存する手術は15年くらい前からぼつぼつと行われていましたが、ここ7~8年の間にかなり増え、当院では乳がん手術の三分の二は乳房全摘をしないですむこの方法で手術を行っています。その適応はしこりの大きさが3cm以下のもので場所は問いません。3cmを越える乳がんの場合は乳房全摘の適応ですが、術前に化学療法(抗がん剤治療)を行い、しこりが小さくなってから温存手術を実施することも可能です。
また、乳房全摘出となる場合でもお腹の筋肉と皮膚を利用して乳房再建手術を同時に行うことも可能です。この手術は乳腺外科医と形成外科医が協力して行います。
放射線治療
次に放射線治療ですが、乳房温存手術に付随して行われ、乳房内の再発を抑える目的で行われます。乳房照射は週5回に分割して5週間、25回を通院で行われます。1回10分程度で終わります。副作用としては、乳房皮膚の発赤、乳腺の硬化などでいづれも数ヶ月で消失します。この治療は放射線治療専門の知識と装置を要しますので、近畿大学や大阪市立大学附属病院の放射線科に紹介させていただいております。
化学療法・ホルモン療法
乳がんは悪性腫瘍のなかでも化学療法やホルモン療法の感受性が高く、効果を期待できます。乳がんのうち6割は女性ホルモンの影響により成長する性質を有しており、この場合はホルモン治療が治療の柱の一つになり、それ以外の乳がんの方は科学療法が治療の中心となります。何れも近年の新薬開発はすさまじく非常に期待の持てるものが開発されました。実際、乳がん術後5年での再発率はここ二十年で20%は抑制されているものと考えられます。
ですから、当科でもほとんどの乳がん患者さんに術後補助療法として化学療法やホルモン治療を受けていただいています。
副作用としては、食欲不振、吐き気、脱毛、下痢、爪の変色、更年期障害類似徴候(ほてり、発汗など)がありますが、入院の必要はなく、原則外来通院で治療させていただいています。
上乳がん治療の四本柱について説明いたしましたが、大切なことは早期発見、早期治療です。三十歳以上の女性は月に一度の自己検診を是非とも励行して下さい。
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