シリーズ病気 No.30 小児のインフルエンザ
小児科(部長) 片岡 知(かたおか さとる)
もうすぐインフルエンザが流行して、小児科医が忙しくなるシーズンがやって来ます。今回は、インフルエンザについて説明したいと思います。
インフルエンザとは
- 「インフルエンザウイルス」による感染症である。Aソ連型、A香港型、Bの三種類。
- 毎年12月から3月にかけて流行。
- 感染経路は咳などの呼吸飛沫感染が主。潜伏期間は1~3日。
- 一般的な症状は、悪寒戦慄を伴う急激な発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの全身症状がはじめに出現し、これらの症状と同時かあるいは少し送れて咽頭痛、咳などの呼吸器症状が現れます。
- 発熱期間は5~10日間。中には一時解熱して再び発熱するケースもあります。(2峰性発熱)
- 合併症は、肺炎、気管支炎、中耳炎、筋炎、熱性痙攣など。重症な合併症としてはインフルエンザ脳症があります。
治療として、抗インフルエンザウイルス剤があります。A型のみに有効な塩酸アマンタジン(商品名シンメトレル)、A、B型の両方に効果のある内服薬のリン酸オセルタミブル(商品名タミフル)、吸入薬であるザナミビル水和物(商品名リレンザ)があります。本人の症状、年齢により使用します。いずれもインフルエンザ発症から48時間以内に使用すれば発熱などの症状が1~2日短縮されます。肺炎などの合併症があれば抗菌剤も併用します。
熱があっても本人が比較的元気な場合はそれほどあわてる必要はありません。水分をすこしずつで良いですから与えて、頭や脇の下などを冷やしてあげてください。インフルエンザは、急に高熱になるため、御家族の不安もかなり強くなると思います。しかし、発 熱自体は感染に対する生体反応であり、それ自体が悪いものではありません。「高い熱」→「重症」と いう訳ではありません。
上記の抗インフルエンザウイルス剤はインフルエンザの症状をやわらげてくれますが、残念ながらインフルエンザ脳症等の重篤な合併症を防いでくれるということはないようです。
したがって、インフルエンザウイルスと思われる発熱があった場合、1~2日のうちに普段の様子を知ってもらっている「かかりつけ医」を受診することが良いと思われます。夜間でも、早急に医療機関を受診したほうが良いケースは、
- 痙攣、意識障害、行動異常などが出現している場合
- 顔色が極端に悪い場合
- 水分が全く取れない場合、などです。
診察時、「検査をしなくて良いのですか?」と親御さんから質問されます。確かに今はインフルエンザ迅速検査がありますが、補助的なものです。特に熱が出て数時間の場合は検査しても陽性に出ないことがあります。診断は、問診、本人の診察や検査等から総合的に判断するものと考えています。必要があれば検査もします。
最後になりますが、インフルエンザ予防の基本はやはり予防接種です。一般に有効率は70~80%といわれており、幼児だとこれより少し低くなります。子供は2回接種が望ましいです。早い時期にかかりつけ医で接種を済まして下さい。
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