シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.33 皮膚腫瘍

皮膚科(副医長) 黒岡 定浩(くろおか さだひろ)

小さなほくろで命を落とすかもしれないといった内容の健康番組が最近よくテレビなどで放送されているのでご存知の方も多いと思います。誰の体にもほくろやしみ、いぼなど一つや二つは存在しています。形や大きさはさまざまで幼少時には小さかった物がいつの間にか大きくなっていることに気づくこともあると思います。

そのほとんどはいわゆる良性腫瘍と呼ばれるまったく問題のないものですが、中には稀ではありますが悪性腫瘍であったり前癌病変(放っておくと高い確率で癌となる状態)であったりすることがあります。

百聞は一見にしかずというように、皮膚のできものですから実際に受診していただくのが一番で、良性悪性の判断がつきにくい場合は、腫瘍の一部を切り取る生検(局所麻酔で約3~6mmの皮膚を採取し顕微鏡検査を行います。採取した部位は1針か2針縫合し1週間後に抜糸します)でほとんどのものが約1週間程度で腫瘍の良し悪しが判ります。良性腫瘍であっても比較的疼痛を伴わずにきれいになるものもあります。

代表的な皮膚腫瘍について特徴を記載しておきます。ご自身であてはまるところがあればお気軽にご相談下さい。

皮膚悪性腫瘍
悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)

日本人には足の裏に発生することが多く(他部位に発生することもあります)大きさが6mm以上であったり最近急に大きくなったり、形がいびつで色に濃淡が存在するときなどが危ない可能性が高いといわれています。またほくろが悪性に転化する可能性もあり気になる方は小さいうちに切除しておくのも一つの方法かと思います。

基底細胞癌(きていさいぼうがん)

顔面によくできる黒褐色の光沢を伴うほくろ様のできものです。さまざまな形態をとりますが、いびつな形をとるという点では、良性のほくろとは違うところです。

有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)

すりきず、きりきずや潰瘍、湿疹がなかなか治りにくいとき、また悪臭が出たとき、昔のやけどのあとがなかなか治らないときなどが疑われます。

皮膚良性腫瘍
老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

顔面に発生するいわゆるしみと呼ばれるものです。茶色のべたっとした感じの色素斑です。レーザー治療が普及しており比較的きれいになる方も多いですが、保険診療外(自費治療)になります(保険適応外・自費診療に関しては形成外科に依頼し、治療して頂くことになります)。

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

皮膚が歳をとってできるいぼです。顔面に少し隆起した黒褐色から茶褐色のできものです。日光が当たるところに多くでき、液体窒素や炭酸ガスレーザーで比較的きれいになることが多いです。首に小さないぼがたくさんできる方も多いと思いますが、これも脂漏性角化症の一種です。ただ、皮膚が歳をとってできるものなので再発や他の部位に発生する可能性はあります。

色素性母斑(しきそせいぼはん)

いわゆるほくろと呼ばれるもので、周囲との境界がはっきりしていますが、平坦なものからドーム状にもりあがっているものまでさまざまです。色に関しても黒色から肌色までさまざまでレーザー治療でとれるものもあれば病理組織の関係上(悪性腫瘍との鑑別という意味で)切除したほうがよいものもあります。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

手足の指・顔面によくできる先が山のようにとんがってギザギザになっているできものです。ウイルス性のいぼで他の部位にうつる可能性があり注意を要します。液体窒素や炭酸ガスレーザーにより軽減しますが、なかなか治りにくく再発もしばしば起こりますので根気強く治療する必要があります。

表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)

別名粉瘤とよばれ、なだらかに隆起しているふくらみで表皮がめくれこむことによってできるものです。本来毛穴から排出される老廃物が閉じ込められてできるもので急速に増大することもあります。感染を合併すると赤くなり疼痛を伴います。これがひどくなると皮膚の一部が破れて中から垢のようなものが排出され悪臭を伴います。このような状態になると皮膚の一部を切開して内容物を排出し、抗生物質の投与が必要になります。完全に治すためには毛穴を含めた皮膚の切除が必要となります。

▲ ページの先頭へ戻る