シリーズ病気 No.34 カテーテル治療
内科(医長) 山平 浩世 (やまひら ひろよ)
「動脈硬化」「狭心症」「心筋梗塞」は非常に耳にされる言葉だと思います。最近ではテレビの医療番組でも時々取り上げられていていますが、今回はこれらの疾患に加えて、足の狭心症ともいわれる「閉塞性動脈硬化症」の治療についてもお話したいと思います。
1.動脈硬化って?
動脈硬化病変の最初は、コレステロールや脂肪を食べた細胞が血管の壁の中に増えてくることから始まります。やがてその細胞内の脂肪の量が増え、細胞の形に変化が起こり脂肪のかたまりプラーク(粥腫:じゅくしゅ)が血管内に形成されます。これが動脈硬化です。この結果、血液の流れが悪くなり、狭心症・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症・脳梗塞などの病気につながっていくのです。
2.狭心症・心筋梗塞って?
心臓は、全身に血液を送り込むためのポンプの役割をしています。もちろん心臓自身にも血液を送り込んでいますが、この血管を冠動脈といいます。この冠動脈の内腔が先ほど述べた動脈硬化のために流れが悪くなると、心臓のポンプの役割が正常に働かなくなり、動いたときに「胸(あるいは、みぞおち)が痛い・押さえつけられたような感じ」「肩が凝る」などの症状が起こります。これが「狭心症」です。さらに、細くなった部分でプラーク(粥腫:じゅくしゅ)が破れて脂肪や血の塊(血栓)が出来ると、血流が完全になくなり、そこから先の心筋が腐ってしまいます。これが心筋梗塞です。こういう状態になると、安静・労作にかかわらず、胸の症状が30分以上続いたり、さらには「冷汗・吐き気・呼吸困難」などの症状がでてくることがあります。
3.閉塞性動脈硬化症って?
動脈硬化が足の血管(動脈)に進んだ場合はどうでしょうか?足の血管の動脈硬化が進み、血管の内腔が狭くなったり、つまったりすると、歩行時に「足のしびれ」、「痛み」、「冷たさ」を感じるようになります。さらに進行すると、安静時にも症状が現れることがあります。
4.こんな症状がでたらどうしたらいいの?-診断と治療について-
このような「狭心症」「心筋梗塞」「閉塞性動脈硬化症」の症状が出現したら、すみやかに医療機関を受診され診断をしてもらうことが重要です。
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| 狭窄した血管ステント留置術の例 |
「狭心症」「心筋梗塞」では心電図(安静時あるいは負荷心電図)や心エコー検査さらにはカテーテルによる血管造影が重要となってきます。また「閉塞性動脈硬化症」は四肢の血圧を同時に測定し《下肢の血圧÷上肢の血圧》をひとつの指標として います。この比をABI(足関節・上腕血圧比)といいます。これで下肢の血圧のほうが低ければ「閉塞性動脈硬化症」の可能性があり、さらにMRIによる血管造影・超音波検査などを行い、最終的にはカテーテルによる血管造影を行います。
では治療方法としてはどのようなものがあるのでしょうか?3疾患ともに血管拡張剤・抗血小板療法(血液をサラサラにする薬)の使用を行うのですが、先ほどいいました動脈硬化で詰まってしまったものを取り除くお薬はありません。そのため「狭くなった血管を拡張する」あるいは「別の新しいルートを作る」という方法が一般的には用いられています。後者は足や胸の血管を使った外科的なバイパス手術です。前者は今回の題名にもなっているカテーテル治療です。これは手首(あるいは肘・太ももの付け根の動脈)から細い管(カテーテル)を入れて血管を造影した後(ここまでは検査になります)、先端に風船(バルーン)のついたカテーテルを使って、狭くなったり、つまっている動脈を拡げる方法で、風船で広げる「POBA」が最も古くから行われています。しかし、バルーンによる治療には3~6ヵ月後に起こってくる再狭窄という問題があり、これらを克服するために、刃のついたバルーン「カッティングバルーン」や金属製の金網を植え込む「ステント」、動脈硬化をかんな掛けのように削り取る「DCA(アテレクトミー)」、石のように固くなった動脈硬化をダイアモンドチップをコーティングした小さなドリルで削り飛ばしてしまう「ロータブレーター」などが用いられています。さらには、最近、血管の内膜が増えてこないようにするための薬を塗った「DES(薬剤溶出性ステント)」が登場しました。これらの多様な治療法の出現でかなり再狭窄を起こす確率は減少してきました。これらの治療方法の選択は、患者さんの基礎疾患(もともとの病気)、病変の数・場所などにより最良の治療方法が選択されます。
5. 動脈硬化の予防が大切です!!
加齢によっても動脈硬化は進行しますが、一番大切なのは糖尿病・高血圧・高脂血症などのいわゆる生活習慣病にならないようにすること、あるいはすでにその病気をお持ちであっても良い値でコントロールしていくことが大切です。また喫煙は非常に危険です。タバコの中にはニコチンという交感神経を刺激して血管を収縮しやすくする成分が含まれており、酸化物質により動脈硬化をもたらすように働いてしまいます。このため、血管が細くなってしまうのです。生活習慣病や禁煙の具体的なお話に関しては、またの機会にお話してみたいと思います。
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