シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.36 食中毒

内科(副部長) 窪田 剛 (くぼた たけし)

1.食中毒の季節は本番突入!

食中毒を起こす細菌やウイルスが付着・増殖している飲食物や有害な化学物質が含まれている飲食物を気づかずに飲食して起こるものです。食中毒の半分以上は細菌性のもので、夏季とくに7月ごろから9月ごろがもっとも多く発生します。また、近年では暖房設備の普及によって冬でも多く発生していますし、昨冬に全国的に話題になったノロウイルスによる食中毒は元々冬場の食中毒の代表的なものです。

2.細菌性食中毒

主な細菌性食中毒の特色を表で説明します。

細菌の種類 おもな症状 潜伏期間
腸炎ビブリオ おう吐、激しい腹痛、下痢 8~24時間
黄色ブドウ球菌 激しいおう吐、腹痛、下痢 、発熱は少ない 0.5~6時間
サルモネラ 腹痛、下痢、発熱 8~48時間
腸管出血性大腸菌 腹痛、血便、下痢、尿毒症をおこすことがある 4日~8日
ボツリヌス 吐き気、おう吐、視力・言語障害、嚥下困難 12~36時間
セレウス 吐き気、おう吐、腹痛、下痢 1~5時間
ウェルシュ 腹痛、下痢、おう吐や発熱は少ない 5~24時間
カンピロバクター 腹痛、下痢、発熱 2日~7日
エルシニア 腹痛、下痢、発熱、発疹 5日~7日

食中毒の発生の多いものとして、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、そして大規模な食中毒を起こしやすいものとして、病原性大腸菌、ウェルシュ菌、また発生が少ないが死亡率の高いものは、ボツリヌス菌です。

【予防方法】

基本は「よく洗う」「よく加熱する」「古いものは食べない」です。

  • 魚介類
    真水でよく洗う。加熱する時は充分に加熱する。生食する時は低温で保存し早めに食べる。
  • 肉類
    充分に加熱する。
  • 野菜類
    中性洗剤でよく洗って水洗いを充分にする。

また、使用した調理器具などは必ず熱湯消毒して乾燥保管する、指に傷がある時には調理をしない(傷の膿には黄色ブドウ球菌がいっぱい)、手洗いを励行する、ハエ・ゴキブリなど害虫の駆除を行う、などが大切です。

3.ウイルス性食中毒 ~ノロウイルスについて

冬から春にかけて多発する原因不明の食中毒の80%はノロウイルスが原因とされます。ノロウイルスはここ数年で患者数が急激に増えており、感染者数は年間8000人を超え食中毒原因のトップになりましたが、これは遺伝子検査技術の進歩でようやく見つかるようになったためです。カキ・ホタテなどの二枚貝を十分に加熱せずに食べることで感染、下痢・嘔吐・発熱など風邪に似た症状を引き起こします。厄介なのはウイルスが乾燥などに強く、少数でも感染する力を持っていることです。(一般的な食中毒菌は一度に100万個以上が口に入らないと感染しませんが、ノロウイルスは一度に100個もあれば十分。)感染者の便には1gあたり100万個のウイルスが含まれているので便や手を介して簡単に感染が拡がるというのも特徴です。(このため全国の施設内で感染が拡がりました。)

ノロウイルスは石鹸や洗剤では死なないため、手洗いの時にはよく泡立ててウイルスを洗い流すしかありません。また、食物については十分に加熱すれば大丈夫です。

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