シリーズ病気 No.39 腎臓のお話し
内科(副医長) 近森 康宏(ちかもり やすひろ)
今月は腎臓について述べてみたいと思います。腎臓が悪くなるとどうなるのかを簡単に紹介してみます。
腎臓について
腎臓は、腰の背中側に左右2つ位置し、各約120~150gで、その血流量は心拍出量の20~25%を受ける大変血流の豊富な臓器です。その機能は、尿を作り、体内での老廃物を排泄し、水分バランスや電解質・酸・塩基バランスを維持する事と、造血を促進するホルモンの産生や、ビタミンDの活性化を行っています。
糸球体腎炎、ネフローゼ症候群
検診や病院等の検査で尿潜血や尿蛋白を指摘された方もおられるかと思います。尿潜血は、膀胱炎、膀胱癌、前立腺炎、尿管結石等の尿路科疾患および腎結石、腎癌、腎糸球体疾患等の腎疾患および白血病等の出血性疾患で陽性となります。そのときは泌尿器科にも一度ご相談ください。尿蛋白は、一次性あるいは二次性(膠原病や糖尿病等)による糸球体腎炎、尿細管障害、多発性骨髄腫等の血液疾患、尿路疾患等で陽性となります。糸球体腎炎の中で尿蛋白1日3.5g以上でむくみを伴う場合はネフローゼ症候群と呼ばれ、腎臓の組織を精査するために腎生検を行ない、ステロイド治療が必要となります。糸球体腎炎の中には寛解せずに悪化するものもあります。
慢性腎不全
慢性腎不全とは、慢性の腎疾患が徐々に悪化し、血液検査で血清クレアチニン(Cr)という数値が2mg/dl以上(正常1.2mg/dl以下)の場合を臨床的に指すことが多いです。腎臓での排泄機能が低下するため、血中尿素窒素(BUN)や血清クレアチニン(Cr)などの通常は処理されている代謝産物や生体物質(尿毒素)が体内に蓄積される訳です。腎不全が末期に近づくにつれて、尿量が少なくなり、酸・塩基のバランスは崩れ、造血ホルモンの産生不足から貧血となり、ビタミンDの活性化障害から腎性骨症(すなわち繊維性骨炎、骨軟化症、骨粗しょう症等)になります。腎不全になると一般的には腎機能は回復しませんので、高カロリー低蛋白塩分制限の食事療法、血圧や利尿(糖尿の方は血糖も)コントロール等の薬物療法で、腎不全が進行しにくいための治療を行います。
しかし、血清クレアチニン(Cr)が8mg/dl以上となり、嘔吐、食欲不振、意識障害などの尿毒症症状および心不全による呼吸困難、むくみが出現するなど、薬物治療では制御不可能な状況となった場合、透析が必要になります。
透析と腎移植
透析は、大きく分けて血液透析と腹膜透析がありますが、わが国では血液透析が9割を占めます。血液透析は、人間の血液を体外循環することにより血液中の尿毒素や余分な水分を除外し電解質・酸・塩基バランスをコントロールする治療法です。腎臓そのものを改善する治療ではありません。腎不全末期の方は週3回4時間程度の血液透析が必要となります。その他の方法として腎移植があり、生着すれば生活の制限も殆んど無く、社会復帰率も高いですが、拒絶反応の生じる可能性もあり、免疫抑制剤の生涯服用を必要とします。
