シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.40 痔ろう

外科(副部長) 赤松 大樹(あかまつ ひろき)

痔瘻(じろう)とは?

後天的な原因で発生した肛門管と交通のある瘻管と定義されます。最も多い原因は肛門周囲膿瘍です。肛門管内には便の排出をスムーズにするための粘液を排出する肛門腺がありますが、肛門周囲膿瘍は肛門管内の肛門腺の感染から始まります。この肛門腺の初感染巣から周囲の組織に炎症が波及していきます。その際肛門周囲は比較的組織が粗く弱いため炎症は多彩な方向に広がりしばしば大きな膿瘍を形成します。この時点で患者様は発熱、肛門周囲の痛みを訴えて外来受診されることが多いのですが、時には皮膚に膿瘍が破れて多量の膿の流出を認めてから来られる方もあります。破れる前に受診された場合は、局所麻酔下に切開して膿を出します。切開した場合も、自然排出した場合も膿を排出したとたんに臨床症状は速やかに軽快します。その後慢性化することなく治癒される方もありますが、元の肛門腺と切開創(ないし自壊部)との間の炎症が慢性化し難治性の瘻管を形成したものが痔瘻です。

治療

慢性化した瘻管が自然に閉鎖することはまずありませんので、何らかの外科的な処置が必要になります。手術では瘻管を完全に摘出し、感染のない健常な組織を露出させ自然の治癒を促す開放術式が一般的です。瘻管の走行が単純な場合には瘻管をくりぬく術式もあります。また瘻管に太めの糸を通して結紮し自然に瘻管が切開されるのを待つ方法(seton法)もあります。この方法は2〜3カ月と時間はかかりますが外来のみの処置で施行可能です。どの方法が最適かは患者様の状態により異なりますので、慢性的な排膿にお悩みの方は一度外来受診してみてください。

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