シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.41 慢性肝炎

内科(医長) 山本 光成(やまもと みつなり)

平成14年度より全国の市町村でB型肝炎・C型肝炎ウイルスの検診を行っています。これはB型もしくはC型肝炎ウイルスに感染していても、肝機能検査であるAST(GOT)/ALT(GPT)が正常の場合があり、肝炎の検査が行われず、放置されているケースがあるためです。このような人はキャリアーと呼ばれ、すぐに治療する必要はありません。しかし多少肝機能が悪化しても自覚症状がないため、知らないうちに肝硬変に進行していたり、治療できないような肝癌ができてから医療機関に受診される場合があり、そうならないために定期的に検査を受け、必要なら治療を行うため、検診を行っています。

1.B型慢性肝炎

B型肝炎ウイルスは血液を介して感染するのがほとんどですが、唾液、精液も感染源になりうると考えられています。成人してからの感染は、夫婦間感染などB型肝炎の方と性的接触をした場合や医療従事者の針刺し事故がほとんどで、通常一過性の感染(急性肝炎)で治癒し、慢性化することはありません。日本のB型慢性肝炎の多くは母子感染によるものですが、1986年より母子感染予防事業により、新規に慢性肝炎になるのは年間数百人以下となっています。

B型慢性肝炎は幼小児期には肝機能が正常な無症候性キャリアーといわれる状態ですが、思春期から20代にかけて、肝機能障害が出現し、肝炎期といわれる状態になります。その後、数年して抗体ができ、肝機能が正常化し、再び無症候性キャリアーの状態となります。しかし、すべての人に抗体ができるわけではなく、また抗体ができても肝機能が正常化しない場合があります。その場合、年齢や肝機能障害の程度により、どのような治療を行うかは個別に決定しています。以前はインターフェロンや強力ミノファーゲンという注射薬を主に使用していましたが、最近はラミブジンやアデフォビルといった抗ウイルス薬が登場し、治療法がかわりつつあります。しかし、これらの薬を使ってもウイルスを肝臓から完全に排除することはできないため、B型肝炎は生涯付き合っていく病気になります。

2.C型慢性肝炎

C型肝炎ウイルスは1989年に発見され、従来、非A非B型肝炎と診断されていた人の9割以上がこのウイルスによる肝障害であることがわかりました。主には血液を介して感染するため、輸血や刺青、覚醒剤の回し打ち、医療従事者の針刺し事故が原因となりますが、約半数の方ははっきりとした感染源が不明です。B型肝炎と違い、C型肝炎ウイルスは一度感染すると、60~80%が慢性肝炎となり、慢性化すると自然治癒することはありません。しかし、B型肝炎はウイルスを体から排除することはできないのですが、C型肝炎はインターフェロン治療によりウイルスを体から排除することができます。

インターフェロン治療もリバビリンという内服薬を併用して行う治療や、長時間作用の持続するインターフェロンが開発され、以前より治癒する可能性は高くなっています。しかし、副作用(倦怠感、うつ、貧血など)のため高齢者や肝硬変の方には使用できず、またインターフェロン治療を行っても治らない場合があり、その時は肝庇護薬を使用し、できるだけAST/ALTを正常値に近づけるようにし、肝硬変・肝不全への進行を遅らせる治療をおこないます。

B型肝炎にしろC型肝炎にしろ、慢性肝炎の場合、軽度の倦怠感や疲労感がある人もいますが、ほとんどの人は自覚症状がないため、定期検査を受けられていない人がよくいます。しかし、肝癌は肝硬変の人からだけではなく、慢性肝炎やキャリアーの人にもできてきますので、年に1~2回は腹部超音波検査やCT・MRIなどの検査を受けるようにしてください。

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