シリーズ病気 No.42 糖尿病性網膜症
眼科(医長) 森本 淳子(もりもと じゅんこ)
糖尿病の患者さまは現在全国で約700万人いると言われており今もなお急増しています。
糖尿病は全身に及ぶ合併症を引き起こす油断の出来ない病気です。特に三大合併症と言われる網膜症、腎症、神経障害は発症頻度が高い重大な慢性疾患です。日本では糖尿病の患者さまで、年間3000人が網膜症で失明しており、成人の失明原因の第1位を占めています。
網膜症は進行過程にしたがって単純性、前増殖性、増殖性の3段階に分けられています。初期段階の単純性では、おおくの糖尿病の患者さまは自覚症状が現れないことから眼科を受診しない場合が少なくありません。しかし、自覚症状が出てからでは、手遅れとなることが多いのも事実です。そのためには、糖尿病と診断とされた場合に自覚症状の有無にかかわらず、必ず眼科での検査を受けることをお勧めします。検査の内容は、精密眼底検査を行い眼底の状態を詳しく調べます。検査の方法は負担の少ない検査で、点眼薬で瞳を開いてレンズを用いて眼底の様子を観察します。眼底の状態により治療が必要である場合や、経過を観察するだけでよい場合もあります。治療としては、内服薬による治療とレーザーによる治療や手術が挙げられます。経過を観察する場合は網膜症の無い患者さまは、年に2回の検査が必要で、網膜症の程度により検査の頻度は多く必要となります。
糖尿病性網膜症の一番恐ろしいことは、自覚症状の無いうちに患者さまに知らないところで病気は進行してしまう所です。この為、糖尿病と診断された際には、眼科の受診をお勧めします。
