シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.45 甲状腺疾患

外科(部長) 道清 勉(どうせい つとむ)

甲状腺とは?

甲状腺とは、首の前の気管に付着する蝶々型の小さな臓器で、甲状腺ホルモンを分泌します。一般の皆さんには、バセドウ病という名前を一度は耳にされた方も多いと思いますが、このバセドウ病というのは、まさに、この甲状腺ホルモンの過剰分泌の疾患なのです。我々、医師にとっては、この甲状腺の病気は、全然、珍しいものではありませんが、一般の方にとっては、甲状腺という単語すら、耳にするのも初めてという方も多いと思います。

甲状腺疾患とは?

手術を必要とする甲状腺疾患と、薬物治療などを第一選択とする甲状腺疾患に分類できます。手術を必要とする疾患の代表は、甲状腺癌です。その他には、良性甲状腺腫と総称される甲状腺のしこりがあります。また、甲状腺機能亢進症(前述のバセドウ病の別称)も、薬物治療が奏功しないと、手術的治療が必要になります。もう一つの、薬物治療などを第一選択とする甲状腺疾患というのは、主に、内科で診療していただく疾患になりますが、バセドウ病、甲状腺機能低下症、亜急性甲状腺炎などがあります。

発見の経緯

これら甲状腺疾患は、甲状腺ホルモンの過剰分泌による症状、即ち、汗が多い、皮膚が湿潤である、動悸がする、いらいらすることが多い、体重減少、などで、気がつく場合がありますが、無症状で、他の疾患の検査(CT検査やMRI 検査)によって、偶然、甲状腺に影があるのではと疑われて発見される場合が、案外、多いものです。たとえば、首が痛い、ということで、整形外科を受診したら、首のMRI検査を受けて、その際、甲状腺に影がありそうだと疑われるというようなことがあります。他には、首の前の部分が腫れてきた、と、自覚されて受診される場合もあります。

診断

まず、超音波検査(エコー検査ともいいます)は、必須です。多くの甲状腺疾患(手術を要するような)は、この超音波検査で、診断されます。この際、必要であれば、細い注射針を直接、甲状腺に刺すことによって、細胞を吸引し、悪性細胞がないかどうかを診断する精密検査を行う場合もあります。さらに、手術が必要ということになれば、CT検査を行います。また、甲状腺ホルモンの過不足がないかを調べる目的で、血液検査も多くの場合、必須です。この血液検査には、自己免疫疾患の検索も含まれることがあります。

治療と予後

外科的な治療についてお話します。甲状腺癌は、手術で切除するのが基本です。入院は、1週間くらいが多いです。癌といっても、他の臓器の癌、たとえば、日本人に多い胃癌などに比べると、その予後は、良好ですので、あまり心配なさらないでください。その他の、甲状腺のしこりは、癌の疑いが高い場合や、ホルモン過剰分泌の原因になっている場合、そして、しこりがあまりにも大きい場合などに、手術で切除することになります。そして、良性か悪性かの最終診断をつけることになります。

最後に

甲状腺の病気が疑わしいから、外科に行って、診てもらってください、と、別の診療科の医師に言われても、あまり心配なさらずに、おこしになってください。多くの場合が、経過観察でよいのですから。

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