シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.47 脳梗塞

内科(部長) 河島 利廣(かわしま としひろ)

脳血管障害は昭和26年から55年までの30年間日本人の死因第1位を占めていましたが、昭和56年から第2位、昭和60年から悪性新生物、心疾患に抜かれ第3位になっています。

しかし、発病すると症状により仕事の復帰が困難でまた、後遺症が残り介護が必要になる原因疾患の約30%を占めます。再発を繰りかえして、脳血管性の認知症の原因にもなります。

最近では脳血管障害のなかで脳出血が減少し、脳梗塞の増加が目立ってきています。脳血管障害特に脳梗塞の発症予防についてお話していきたいと思います。

脳の血管が詰まって血液が流れなくなった状態を脳梗塞といいます。脳梗塞には原因や起こる部位によって3つに分けられています。

  1. ラクナ梗塞
    脳の細い血管が詰まってしまう。
  2. アテローム血栓性脳梗塞
    脳の太い血管の動脈硬化により血栓ができて詰まる。
  3. 脳塞栓症
    心臓などにできた血栓が流れて脳の血管が詰まる。
診断

診断には、臨床症状とコンピューター断層撮影(CTスキャン)、磁気共鳴画像診断(MRI)をもちいて脳出血などと鑑別診断を行います。MRIで脳梗塞の病変が急性のものかどうかの診断が容易にできるようになりました。

症状

梗塞が起こった場所によって症状は様々ですが、片麻痺(半身が動かなくなること)失語症(言葉が分からなくなったり、話せなくなる)意識障害 などです。その他、めまい、ふらつき感、ぼけてしまったような症状が出ることもあります。

平成17年度に当院に入院された脳梗塞の患者さんは62名います。年齢は43才から93才の範囲で平均72.4歳です。70歳台が一番多くて23名(37%)、次に80歳台が15名(24%)でした。危険因子がない単独の患者さんは14名(22%)で高血圧合併の方が32名(51.6%)、糖尿病合併が17名(27%)、高脂血症の方が9名(14%)、心房細動の方が6名(9.6%)でした。

脳梗塞の危険因子

高脂血症、糖尿病、喫煙、不整脈、高血圧、肥満運動不足、多量の飲酒、ストレス、睡眠不足、加齢等、これらはすべて脳梗塞の危険因子なのでひとつでも減らしていくことが大事です。

脳梗塞を防止するためには生活習慣の修正を含む危険因子対策と予防対策を考える必要があります。危険因子はできるだけ放置しないで治療することが大切です。

1.高血圧

脳梗塞は最大の危険因子であり血圧が高いほど発症率が高くなります。
降圧目標は140/90mmHg未満ですが,緩徐に降圧していきます。糖尿病がある場合の目標は130/85mmHg未満の正常血圧が治療目標値になります。高血圧の治療として塩分の制限が必要で一日に7g以下にしてください

2.糖尿病

糖尿病は脳梗塞の危険因子として確立しています。
耐糖能異常があると脳梗塞発症の危険度が増大することが指摘されています。
いろいろな報告で耐糖能異常があると疾病発生の危険率が2倍弱高値を示しています。
HbA1C値が6.5%未満が目標です。

3.高脂血症

高脂血症は動脈硬化性病変(粥状変化)の危険因子です。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が血管の壁にたまって動脈硬化を進めます。善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低くても動脈硬化を進めます。食事療法(肉類、卵類等の制限)、運動(散歩)で高脂血症が改善しなければ内服治療が必要です。

4.心疾患(不整脈)

心臓内で血が固まりやすくなります。この血のかたまり(血栓)が流れて脳の血管をつめてしまいます。

5. 禁煙(これは必ず行ってください)

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて、血の流れを悪くします。不整脈を誘発したり動脈硬化をすすめます。凝固能促進、血液粘稠度増加などを介して脳血栓発症に促進的に働きます。

6. 肥満

肥満は、脳梗塞の原因となる高血圧、糖尿病、高脂血症を引き起こします。

7. 加齢

歳をとると、血管壁は固く厚くなり、動脈硬化が進行します。

8.日常生活の注意

食事療法で気をつけることはバランスのよい食事や適正なカロリー摂取をして体重のコントロールを行う。適度な運動(散歩)をする。

水分補給

夏には、脱水症状にならないように適時水分補給に心がけましょう。我慢すると発汗もあり血液が濃くなります。そのつけが冬にきます。夏場が非常に大切です。

その他に

寒冷や急な温度変化を避ける。(特に風呂、トイレ)
過労や睡眠不足やストレスを避ける。

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