シリーズ病気 No.51 血尿
泌尿器科(部長) 今西 正昭(いまにし まさあき)
「うわー・オシッコが赤い」そうです、これが血尿です。つまり血尿とは尿の中に血が混ざった状態の総称です。血尿には目で見て赤い尿としてわかる肉眼的血尿ばかりでなく、顕微鏡で調べて赤血球がみられる顕微鏡的血尿があります。
健康診断で指摘される血尿は、たいていこの顕微鏡的血尿です。また血尿には血尿以外に疼痛や排尿障害などのなんらかな症状を伴う症候性血尿と血尿以外には何も症状を伴わない無症候性血尿があります。
1.血尿の原因
尿の排泄経路である腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこで出血しても血尿となります。
- 癌
腎癌・腎盂癌・尿管癌・膀胱癌・前立腺癌 - 尿路結石
腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石 - 尿路感染症
腎盂腎炎・膀胱炎・前立腺炎 - 放射線性膀胱炎
放射線治療の副作用 - 薬剤性膀胱炎
薬の副作用 - 血管異常
腎動静脈奇形や走行異常など - 内科的疾患
腎炎など - 運動性血尿
過度の運動 - 特発性腎出血
原因不明 - 外傷
血尿の原因は上記のように多岐にわたる疾患によって起こってきます。すぐに治療を必要とするものから、経過観察でよいものまで様々な対応を要します。
症候性血尿として腹痛や背部痛を伴う場合は尿路結石症が疑われ、高熱や排尿時痛、頻尿、残尿感といった膀胱刺激症状を伴う場合は尿路感染症が疑われます。また血尿と同時に尿にタンパクを伴う(タンパク尿)場合は腎炎などの内科的疾患が疑われます。無症候性血尿は腎癌、膀胱癌など尿路悪性腫瘍の疑いがあり、特に注意が必要です。
血尿は一度起こると以後もずっと持続するものではありません。従って、無症候性血尿の場合は血尿が止まると全く無症状となり治ったものとして放置されることがよくあります。数ヵ月後に再度血尿が出現し、泌尿器科へ受診したときには癌がかなり進行していたといったケースが少なくありません。このように血尿が一時消失しても原因疾患が治ったわけではありません。血尿を認めたときには「血尿110番 泌尿器科」へ受診してください。
2.血尿への対応
肉眼的血尿を認めた場合には、出来る限り早く血尿が持続している状態で泌尿器科を受診するようにしてください。この状態で検査をすると原因となる疾患や出血部位の診断に役立ちます。血尿は出血後すぐに排尿すると鮮紅色~ワイン色として認められますが、出血後に排尿まで時間がかかるとコーヒー様の色調に変わってきます。また、排尿の初めから終わりまで血尿であるのか、排尿終末に血尿を認めるのかといった血尿の状態によっても出血部位診断に役立ちます。受診の際には血尿の色調や状態を伝えてください。検診等で初めて指摘された尿潜血や顕微鏡的血尿の場合であっても一度は泌尿器科へ受診されることをお勧めします。軽度であれば異常を認めず経過観察となる場合も多くありますが、潜在している疾患の早期発見、早期治療につながります。
3.血尿とまぎらわしい尿
尿の色調が変化して血尿とまちがえる着色尿を認めることもあります。
- 膿縮尿
脱水傾向の時に尿が濃くなり褐色に近い尿を呈します。 - ビリルビン尿
肝疾患時にビリルビンが尿に排泄され黄褐色の尿を呈します。 - ヘモグロビン尿
過度な運動後にコーヒー様の尿を呈することがあります。 - 薬物尿
ある種の薬剤の成分により、黄色~赤色に近い尿を呈することがあります。
以上、血尿は軽微で特別な治療を要さないものから、緊急的な処置を要するものまで様々なものがあり、決して自己判断せず血尿を認めれば泌尿器科へ受診してください。
「赤い尿、気づけばすぐに泌尿器科!」
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