シリーズ病気 No.55 アンチエイジングのすすめ
皮膚科(部長) 中川 浩一(なかがわ こういち)
1 アンチエイジングとは何でしょう?
アンチとは、何かが駄目とか、嫌いとか言う意味の接頭語です。エイジングとは、動詞エイジの現在分詞で、“歳をとる”とかの意味です。すなわち、アンチエイジングとは、歳をとらない、言い換えるならば、いつまでも若々しい姿でありたいという願望ということになります。これをインターネットで検索して見ると、美容外科クリニックやエステサロンから、はたまた、インチキまがいの若返り薬など、たくさんの商店や商品がヒットしてきます。確かに、このような商売も、日本人のアンチエイジングの一端を担っているかもしれません。しかし、アンチエイジングという願望に対して、もっと、学術的に追求しようという学問があります。抗加齢医学と呼ばれています。現在、多くの医師やコメディカルの方々によって、様々な分野から検討されているわけです。今回はこの抗加齢医学について紹介してみたいと思います。
2 抗加齢医学
抗加齢(アンチエイジング)医学は、1990年ごろにアメリカで始まった新しい学問でありますが、加齢に伴うホルモンレベルの減少、免疫能の低下、身体の酸化などについて、日夜、研究が続けられています。日本においては、2001年に研究会として20名程度の有志によって発足し、2003年に学会として改組後、今ではおよそ3000名の会員を擁する団体となりました。こう言うと、何かとてつもなく難しい研究のように思われるでしょう。しかし、抗加齢医学の基礎は、いかに健康を維持して、心身ともに健康なお年よりになるかと言う事です。従来の医学というのは、病気の人をなおす医学であり、抗加齢医学は病気にならないように健康の維持にはどうしたらよいのかということを追求しています。平易に言えば予防医学ということになります。

3 日常できる予防医学
皆さん方の周りを見回してください。同じような年齢でも、非常にふけた人もいれば、とても老人に見えないような元気な方もいらっしゃいます。以前に、テレビで、79歳になっても高鉄棒で大車輪のできる方が報道されていました。このおじいちゃんとあなたはどこが違うのでしょう? もちろん、人間にはもって生まれた才能とか、身体能力というものもあります。ただ、そこで、あきらめてしまえば、あっというまに、肉体的にも精神的に老化して、健康ではない状態(=病気)になってしまいます。では、何ができるのかをお教えしましょう。それは『食事』と『運動』です。まず、食事ですが、いわゆる従来の日本食がアンチエイジングには良いと言われています。
最近、認知症のことがよく話題になりますが、野菜は認知症の進行を遅らせる効果のあることも報告されています。野菜には、葉っぱの野菜(白菜やほうれん草、水菜)と茎の野菜(セロリなど)、根の野菜(ジャガイモやサツマイモ)がありますが、これらを満遍なく取るようにしましょう。肉類はできるだけ避けて、背の青い魚(イワシやサバ)を食べてください。これらの魚には不飽和脂肪酸を含んだ油がたくさん含まれて、血液をさらさらにする作用があると言われています。イワシや、これらを主食にするアザラシを食べているイヌイットたちに心筋梗塞が少ないことも知られています。なお、これらの油から作られた、 EPAというサプリメントは病院でも保健適応になっていますので、興味ある方はご相談ください。
もう一つ、忘れてはいけないのは、主食のお米です。お米には各種のビタミンやミネラルが多く含まれています。しかし、精白されたお米では、これらの物質が取り除かれているので、お勧めは玄米です。もちろん、明日からすぐ玄米食を始めようと思っても、硬くて食べにくいのが玄米です。最初は米櫃の中の精白米に対して5分の1から4分の1程度を混ぜましょう。そして、徐々に増やしていくのはどうでしょう。“子供たちが嫌がるので”といわれる方もいるでしょう。でも、最近、肥満の子供や高脂血症の子供が増えているのはご存知ですか?
次に運動ですが、そんなに気負わなくても結構です。一日30分くらいの散歩から始めましょう。特別な道具は要りません。お友達や家族と雑談をしながらゆっくり歩けばいいのです。幸い、富田林市には緑豊かな公園がたくさんあります。錦織公園という、すばらしい自然公園もあります。ものの本によれば、有酸素運動(ちょっと息が切れるような激しい運動)のほうがいいと書かれてあります。もちろん、その方がいいのはわかっていますが、今まで、ほとんどお家の中でしか生活してこなかった方が突然、有酸素運動なんかするとどうなるでしょう。長続きしないどころか、下手をしたら天国に召されてしまいます。では、膝や腰が悪い人はどうしたらいいのか?と聞かれるかもしれません。けあぱるのプールがあります。膝が悪くても、プールの中をゆっくり歩くことで、結構な運動になります。各自の状態に応じて、各自にできる範囲内で行えばいいと思います。
4 病院でできること
現在、抗加齢学会で検討されている各科診療科目と適応疾患です(抗加齢学会HPより)。

この中には、本院では扱ってない疾患もありますが、当皮膚科での実践例を示します。
(1)老人性疣贅
いわゆる、老人の疣(イボ)です。いくつかの方法によって除去することが可能ですが、当科ではサージトロンや炭酸ガスレーザーを用いています(保健適応)。局所麻酔をして、丁寧に焼灼していきます。図は60歳台の男性のほっぺたにできた老人性疣贅を、サージトロンで焼灼した前後の写真です。10歳くらい若く見えませんか。

(2)スキンタッグ
中高年以降にできる首のしわのようなものです。見た目にも、ふけて見えますし、シャツなどがひっかかるととっても痛いと言われます。これも、局所麻酔をしてから、ひとつずつ、皮膚面から切りとっていきます。サージトロンを使うと、ほとんど、血も出ません。前後の写真を見てもらいます。

(3)眼瞼下垂
誰でも歳をとると、まぶたが垂れてきます。目の周りの筋肉(眼輪筋)が弱くなり伸びてしまうからです。そこで、目をパッチリさせようと、おでこの筋肉も動員します。その結果、おでこにしわがよるようになります。それでも力が足りなくなると、今度は肩の筋肉も使って、顔全体を斜め上向きにもって行きます。この運動を繰り返すことによって肩まで凝ってきます。当科では、眼輪筋の一部を切除し、その裏にあるミュラー筋という筋肉を縫いちぢめることで眼瞼下垂の治療も行っています。

5 終わりに
以上、思いつくままに、いろいろ書いてみましたが、何かお悩みのことがありましたら、是非、富田林病院の皮膚科を受診してください。サプリメントも多数取り揃えてお待ちしています。
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