シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.63 胃食道逆流症

内 科(医長) 廣谷 友範

みなさんも胸やけを感じたことがあると思います。胸やけや呑(どん)酸(さん)(酸味を有する胃液が口腔内に逆流する現象・胃酸過多症などの一症状)はよく見られる症状で、15~20%の方に認められたとの調査報告があります。食道と胃の境界部は、ほぼ横隔膜の位置と一致し、下部食道括約筋が働き逆流しないような仕組みになっています。しかし下部食道括約筋が弛緩したり、腹圧が上昇したりすると、胃酸の混じった胃内容物が食道に逆流して胸やけなどの症状がおこります。最近では食道内への胃酸などの胃内容物逆流による症状があれば胃食道逆流症と診断するようになりました。このような場合、内視鏡検査を行い食道にただれがあれば、逆流性食道炎と診断し、異常がなければ非びらん性胃食道逆流症と診断します。炎症のために食道粘膜が胃粘膜に変化している場合は、バレット食道と診断し、食道癌との関連があるため注意が必要です。高齢者や肥満傾向のある方が罹患しやすいようで、食生活の欧米化により今後さらに患者数が増加することが予想されます。症状は、胸やけ、呑(どん)酸(さん)は一般的ですが、それ以外にも狭心症様の胸痛、咳、咽頭異常感、嗄声など来すこともあります。さまざまな検査法がありますが、問診、内視鏡検査と制酸剤による治療的診断で診断されることが一般的です。治療は、ライフスタイルの改善と胃や十二指腸潰瘍の治療薬である制酸剤の内服を中心とした内科治療が基本で、これで効果がなく症状が強い場合には手術を考慮します。
胸やけなどの不快な症状がある方は
   ① 過食、脂肪食、香辛料、炭酸系飲料、アルコール、コーヒー、チョコレートなどを避け、
   ② 肥満にならないようにし、
   ③ 食後2時間は横にならず、
   ④ きついベルトやコルセットで腹部を圧迫しない、
   ⑤ 日頃から背筋を伸ばし、前かがみの姿勢は避ける、
   ⑥ 寝るときは枕や座布団で上半身を高くし、少し背中を起こす、
   ⑦ 食後にガムをかむ。(唾液で酸を中和できる)
これでもだめなら、主治医に相談し薬を飲みましょう。効果が高い薬はプロトンポンプ阻害剤(PPI)で、次がH2受容体拮抗剤と消化管運動改善剤です。PPIはほぼ1日中胃酸の分泌を抑制し、しかも食後の胃酸逆流も抑制するため最もよく使用されます。また、血圧や喘息の薬を飲んで症状が出現したときは主治医に相談しましょう。ライフスタイルの改善が最も大切であり 一生続けていくのが理想です。なぜなら、改善がなければ治療にも限界があり、また内服中止後に再発する危険性があるからです。さまざまな病気があり、さまざまな予防法があります。みなさんも自分の体にあったライフスタイルを見つけてください。



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