シリーズ病気 No.66 インフルエンザ
内 科 比嘉 慎二
国内のインフルエンザの患者数が、今年は例年よりも約1か月早いペースで増え始めています。国立感染症研究所が11月16日に発表した全国約5000か所の定点医療機関の集計によると、先月29日~今月4日の報告患者数は1217人。1医療機関あたりの報告数は0・26で、昨年同時期の0・01に比べ大幅に増えています。Aソ連型が多いのが特徴のようです。
この厄介なインフルエンザ、普通のかぜと混同してはいませんか?普通のかぜの症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。一方、インフルエンザの場合は38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。高齢者や、呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ人は重症化することが多いので、十分注意する必要があります。
インフルエンザは、原因となっているインフルエンザウイルスの抗原性の違いから、A型、B型、C型に大きく分類されます。A型はさらに、ウイルスの表面にある赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という、2つの糖蛋白の抗原性の違いにより亜型に分類されます。いわゆるA/ソ連型、A/香港型というのは、この亜型のことです。現在、ヒトの世界で広く流行しているのは、A/H1N1亜型ウイルス(ソ連型)、A/H3N2亜型ウイルス(香港型)、B型ウイルスの3種類ですが、症状や治療、予防法に大な違いはありません.
予防の基本は、流行前にワクチン接種を受けることです。わが国でも年々ワクチンを受ける方の割合が増えてきています。インフルエンザにかかった場合でも重症化防止に有効と報告されています。インフルエンザは、かかった人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します(飛沫感染と呼ばれています)。インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れがたまっている人、睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。また空気が乾燥すると、インフルエンザにかかりやすくなります。のどの粘膜の防御機能が低下するためで、外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。十分に休養をとり、体力や抵抗力を高め、バランスよく栄養をとることも大切です。帰宅時のうがい、手洗いも、一般的な感染症の予防としておすすめします。また、インフルエンザにかかって、咳などの症状のある方は特に、周りの方へうつさないために、マスクの着用が勧められます。単なるかぜだと軽く考えずに、早めに医療機関を受診してアドバイスを受けましょう。
インフルエンザウイルスに対する治療薬の抗ウイルス薬は、医療機関で診察の上で使用できます。インフルエンザには抗生剤(抗菌薬)は効きません。しかし、インフルエンザにかかったことにより、他の細菌にも感染しやすくなり、このような細菌の感染による肺炎や気管支炎などの合併症に対する治療として、抗生剤(抗菌薬)が使用されます。抗菌剤を使用する、しないは医師の判断となりますので、十分に医師に相談することが重要です。なお、いわゆる「かぜ薬」と言われるものは、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではないことにご留意ください。
