シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.69 耳垢(みみあか)

耳鼻咽喉科科 渡辺 紀子(わたなべ のりこ)

耳垢(みみあか)は外耳道にある耳垢腺と皮脂腺というところから出る分泌物や外耳道の表面からはがれたもの、外からのごみなどが混ざってできます。 耳垢が何のためにあるのかはわかっていませんが外耳道の洗浄作用や感染防御としての抗菌作用がある、といわれています。

 耳垢の出来やすさには先天的な要因と後天的な要因が関係しており個人差があります。まず、先天的な要因として遺伝的にカサカサしているかジクジクしているかで変わってきます。ヒトの耳垢にはカサカサしたドライな耳垢(乾型)と褐色でアメ状の耳垢(湿型)の2つの型があり湿った耳垢は乾いた耳垢に対して遺伝的に優性です。つまり、両親がともに乾型では生まれる子供は全員乾型ですが、少なくとも片親が湿型の場合子供は乾型・湿型両方の可能性があります。
日本では湿型耳垢の人は平均16%と言われていますが地域により差があり北海道・沖縄では湿型耳垢の割合は高くなっています。これは日本には元々湿型耳垢の縄文人が居住しており、やがて乾型耳垢の弥生人が流入したがその影響が及ばなかった北海道・沖縄では湿型耳垢が保存されたためではないか、と考えられています。
人類全体をみると多数派を占めるのは湿型耳垢でありこの割合は人種により差があります。白人では90%以上、黒人では99.5%が湿型耳垢でアメリカインディアンはモンゴル系人種と同じく乾型が多いと言われています。

次に、後天的に耳垢が出来やすい要因としては外耳道に湿疹(しっしん)がある、慢性炎症がある、あるいは始終耳を触る・ひっかく・つつくなど刺激を与え続けているので外耳道の表面がはがれやすい、慢性中耳炎で耳だれがでてそれが固まってしまう、などが考えられます。普通、外耳道の皮膚は鼓膜のある内側から外側に移動するように出来ており外耳道の奥の耳垢も自然に耳の穴のほうに運ばれてぽろっと出てくることもあります。
頻繁に無茶な耳掃除をせずに耳垢が自然に耳の穴まで出てくるの待って優しくとるのがいいのですが、湿型の耳垢(アメミミ)は取りにくく、乾型の耳垢(ドライ)でも特に多いとか、奥にたまっているとか、かたい場合はとれにくいものもあります。
外耳道の皮膚はとても薄く傷つきやすいので無理に取ろうとしてかえって傷をつけたり炎症をおこしたりして滲出物が増えて、かえって後天性の耳垢を増やすこともあります。また耳掃除をしているつもりが実は耳垢を奥へ奥へと押しこんでしまい、たまった耳垢が水分(お風呂や水泳)でふやけると耳のつまり感が生じることがあります。耳垢が鼓膜に当たると痛い、耳の中で音がして不快に思うことがあるかもしれません。


外耳道疾患(湿疹や慢性外耳道炎)がある、慢性中耳炎がある、外耳道の表面がはがれやすい、湿型耳垢で取りにくい、など容易に耳掃除ができない場合や耳内が気になる場合は気軽に耳鼻科を受診してください。また、「耳のつまり感」は耳垢以外の原因(例えば、外耳炎、外耳道異物、外耳道腫瘍、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、耳管狭窄症、突発性難聴、メニエール病、上咽頭腫瘍など)で生じることもありますので症状が続くときは必ず受診してください。

 

 

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