シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.70 機能性胃腸症について

内科 江口 次郎 (えぐち じろう)

最近増えている、機能性胃腸症( FD : functional dyspepsia )についてのお話です。
安部前首相が辞任に至った、原因に1つにもなり、すでにご存知の方も多い事でしょう。
少し前までは、胃下垂や胃アトニーなどと呼ばれ、最近では神経性胃炎・慢性胃炎などと診断されていました。
胃もたれ感や痛みを感じるのに、内視鏡検査などで異常が認められない場合、この病気の可能性があります。このような症状で医療機関を受診する患者さんの約半数は、検査しても異常が認められないと言われています。ではどの様な症状が起こるのでしょうか?

上腹部を中心とする症状を、ディスペプシア(dyspepsia)と呼びますが、主に ①早期膨満感(胃の拡張機能の低下した状態) ②胃もたれ感(胃の収縮機能の低下した状態) ③胃の痛み( 胃の知覚過敏の状態)などがあり、これらの症状は排便・放屁により改善しません。この様な症状のため、日常生活に支障をきたすことさえあります。
しかし、病院で血液検査・腹部超音波検査・X線検査・上部内視鏡検査を受けても、異常が見つかりません。一体何が原因なのでしょうか?

今のところ、原因は特定されていませんが、情動ストレスの関与が大きいと考えられています。もちろん、他の原因も次第にわかってくると思われます。
したがって、治療は症状を和らげることを目的とした、以下のような対症療法が行われます。


① 消化管運動機能改善薬
腸の運動機能を正常な状態に近づける薬です。

② 胃酸分泌抑制薬
胃酸の分泌を抑える薬です。

③ 抗不安薬
不安や緊張などストレスを軽減する薬です。

④ 食生活の改善
規則正しい食生活を心がけ、消化によいものを、ゆっくりと食べましょう。

⑤ 日常生活の改善
十分な睡眠をとり、ストレスをためないように心がけましょう。
今後、原因も次第に明らかにされ、薬の研究・開発により、有効な治療薬の登場が期待されています。

 

 

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