シリーズ病気 No.77 前立腺癌
泌尿器科医長 畑中 祐二 (はたなか ゆうじ)
=前立腺癌とは?=
前立腺癌は人口の高齢化や食生活の欧米化により,最近増加傾向の著しい疾患です。わが国の発生率は胃癌,肺癌,結腸癌,肝臓癌,直腸癌に次いで男性癌の6番目です。
最近は前立腺特異抗原(PSA)検査の普及により早期癌で診断される方の割合が増加しています。
<前立腺特異抗原(prostate specific antigen):前立腺から分泌され精液を液状に保つのに重要な酵素です。>
- 症状
早期癌の場合は癌特有の症状は出ません。進行すると排尿困難や血尿,精液に血が混ざることがありますが,無症状なときもあります。
- 診断
前立腺癌になるとPSAが上昇します。(特異的ではなく前立腺肥大症や前立腺炎などの良性疾患でも高くなることがあります。)
PSAの異常以外に直腸指診,MRI検査などで前立腺癌が疑われると前立腺針生検が必要です。生検は半身麻酔を行い,直腸から超音波を挿入し前立腺を確認しながら会陰部から細い生検用の針を12ヶ所ほど刺して組織の一部を採取し,病理検査を行います。
- 治療
前立腺癌の治療方法には大きく分けると3種類あり,状態や年齢などによって最適な治療法を行っていきます。
根治的前立腺全摘術:早期癌に対して行われ,癌を含む前立腺をすべて摘出し,膀胱と尿道を縫合する方法です。
ホルモン療法:前立腺が悪性化するのには男性ホルモンが関与しています。このため男性ホルモンを抑える内服薬や注射,または両側の精巣を摘除することで癌の進展を停止させます。ただし,治療期間中にホルモン抵抗性と言って男性ホルモンを必要としない癌細胞が出現し,再び癌が進行することがあります。
放射線療法:放射線で癌細胞を死滅させようとする治療法です。体の外から1ヶ月余かけて放射線をあてる方法と,前立腺に放射線を出す針を直接刺したままにする内照射(小線源療法)があります。手術は不要ですが,放射線治療独特の副作用もあります。
いずれにしましても,患者さん各個人で状態が異なります。それぞれにあった治療法を選択することが最も重要なことですので,主治医とよく相談することが大切です。 。
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