シリーズ病気 No.78 痔
外 科(副医長) 小田 直文(おだ なおふみ)
最近、「ホームページを見て来ました」と、外来で耳にする機会が増えました。
詳しく聞いてみると「内痔核治療法研究会」のホームページ(http://www.zinjection.net/)のようです。(インターネットを利用される方が増えてきましたが、まだまだ少数です。)
おしり、肛門の病気は「恥ずかしい」と敬遠されがちです。
「症状が軽い」うちに治療を始めると、治療期間は短く、治りやすいものです。
痔(痔疾)は成人の3人に1人が悩んでいると言われます。
大まかに分類すると①痔核(いぼ痔)、②裂肛(切れ痔)、③痔瘻(あな痔)です。
- 痔核(いぼ痔)
痔核(いぼ痔)が最も多く、痔核のできる部位により、内痔核と外痔核に分けられます。
肛門の静脈がうっ血し、炎症を伴い、腫れます。
・内痔核は肛門の粘膜下にできる、静脈の腫れです。(違和(残便)感、出血)
・外痔核は肛門の皮下にできる、静脈の腫れです。(特徴は痛みです)
内痔核、外痔核の両方を患う人もいます。 - 裂肛(切れ痔)
裂肛(切れ痔)とは、便によって肛門付近が切れたり裂けた状態です。
長期間放置すると、再発を繰り返し、肛門が狭くなり、排便困難となることがあります。 - 痔瘻(あな痔)
痔瘻(あな痔)は下着の汚れや発熱、肛門周辺の痛みを伴うことがあります。
前次に、①痔核(いぼ痔)の中で内痔核について症状、(当科での)治療をご紹介します。
症状は[Ⅰ]度から[Ⅳ度]まで分類され、症状に沿った治療を行っています。
- [Ⅰ度]
出血が主な症状です。内痔核(いぼ痔)は肛門外へ脱出しません。(痔核が腫れ、便がこすれて出血します。)排便後にトイレットペーパーに血液が付着したり、便器に血がたれる、といった症状で来院されます。
治療は外用薬(塗り薬)が第一になります。生活習慣も注意しましょう。
- [Ⅱ度]
排便時に内痔核(いぼ痔)が肛門外に脱出するが、自然に肛門内へ戻ります。違和(残便)感や出血症状で来院されます。
治療は外用薬(塗り薬)をもちいます。外用薬(塗り薬)でも症状がよくならない場合、
「硬化療法」も行います。
- [Ⅲ度]
排便後に脱出した内痔核(いぼ痔)を押し込まないと戻らない状態です。(脱出した内痔核(いぼ痔)が自然には肛門内に戻らなくなります。)
治療は外用薬(塗り薬)を併用し、「硬化療法」、「手術」を行います。最近「硬化療法」で「手術」を回避できることが多くなっています。
- [Ⅳ度]
排便に関係なく内痔核(いぼ痔)が脱出したままとなっています。
主な治療は「手術」です。「硬化療法」も有効な場合もあります。
全ての段階で、外用薬(塗り薬)を使用します。炎症が内痔核(いぼ痔)には存在します。
その炎症を外用薬(塗り薬)でおさえる事で、大半の方で症状は軽快します。
外用薬(塗り薬)で残った症状に対して、「硬化療法」や「手術」を考えます。
「硬化療法(ジオン/ALTA)」について
最近、当科でも「硬化療法」を採用しました。
これまで当科での治療は、外用薬(塗り薬)の保存的療法と手術の二本柱でした。
「硬化療法」は、保存的療法と手術の間に位置づけられます。
「脱出する内痔核」つまり、Ⅱ度以上の症状に対し、手術以外の方法で症状の軽快が期待できるようになりました。
方法は、内痔核(いぼ痔)に硬化剤を直接注射します。通院、入院、どちらかで行います。
副作用等もある治療法です。治療前に検査、全身状態のチェックなどを行います。
(内痔核治療研究会は、手術に準じた管理を推奨しています。)
注射後は、数日から数週間で症状の軽快が期待できます。
上記症状に心当たりのある方は、まず、外科外来を受診し、担当医に相談してください。
