シリーズ病気 No.80 胆管癌
外 科(部長) 林部 章(はやしべ あきら)
胆管癌の原因:胆管癌の原因として胆石症、膵胆管合流異常症などの胆道疾患が危険因子として知られています。その他では、クローン病、潰瘍性大腸炎などの疾患との関連も知られています。
症状:早期の胆管癌は無症状であることが多いですが、進行癌では以下のような症状が生じる場合があります。
- 黄疸
進行胆管癌ができることにより胆管が狭くなり、最終的には閉塞してしまいます。胆管が閉塞すると、胆汁が流れなくなります。流れなくなった胆汁はうっ滞して血管内に逆流し、この胆汁内に含まれるビリルビンという色素のために、皮膚や目が黄色くなります。これを閉塞性黄疸といいます。
- 褐色尿
うっ滞した胆汁が血管内に逆流し、血液中のビリルビン濃度が異常に高くなると、ビリルビンが尿中に排泄されるようになり、尿の色が茶色っぽく濃くなります。
- 白色便
胆汁が腸内に流入しなくなると、便の色が白っぽい色に変化します。
- 発熱
閉塞性黄疸になると、うっ滞した胆汁に細菌が感染するようになり、発熱や悪寒が起こることがあります。この状態を閉塞性胆管炎と言います。
- 腹痛
進行胆管癌では、心窩部から右側腹部にかけてもしくは背部にかけて疼痛を自覚することがあります。
- 掻痒感
うっ滞した胆汁が血管内に逆流すると、ビリルビン色素と一緒に胆汁酸という物質が流出し、そのため皮膚にかゆみが起こることがあります。
診断のための検査
- 超音波検査
胆管拡張の程度や、その形態を観察するのに超音波検査は非常に有用です。外来で簡単に施行可能であり、患者さんの苦痛も殆どありません。
- 腹部CT検査
胆管癌の存在部位、腫瘍の進展度、他臓器との解剖学的位置関係を把握するうえで欠かせない検査です。造影剤を使うことにより、血流量の差を利用して腫瘍をより強調して観察することが可能です。また最近のMDCT(マルチスライスCT)により、肝動脈・門脈など従来は血管造影でしか得られなかった周囲の重要血管陰影を画像化することができるようになっています。
- MRI(磁気共鳴画像)
腹部CTと同様に、胆管癌の存在部位、腫瘍の進展度、他臓器との解剖学的位置関係などをみるものですが、CTとは情報内容の異なるものであり、相補的な関係にあります。また、MRCP(MRIによる胆管膵管造影)により、低侵襲での胆道系の病態把握が可能です。
- 胆道造影
胆管を直接造影して、胆管癌の存在部位・周囲への拡がりを診断するものです。胆汁中に存在する癌細胞の検査を行うことが可能で、腫瘍の確定診断にも有用です。経皮経肝胆道造影(PTC)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)の2つの方法があります。
- 経皮経肝胆道造影(PTC)
癌のために胆汁の十二指腸側への流出をせきとめられたため、太くなった上流の胆管を超音波誘導下に穿刺し、造影剤を注入します。すると胆管の狭窄・閉塞の状況が詳細に把握されます。また流れなくなった胆汁を体外に流出させることにより、黄疸を軽減させることが可能です(経皮経肝胆道ドレナージ)。
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)
内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、胆管と膵管の出口である十二指腸乳頭から細い造影用チューブを入れ、造影剤を注入して胆管や膵管の形態を調べる方法です。 また胆管内に挿入したチューブを留置して、胆汁を体外に流出させることにより黄疸を軽減させる処置もあります。
治療:胆管癌に対する治療の第一選択は手術です。ただし、全身状態が不良であったり、心臓、肺、脳などに合併症があると、手術ができない可能性があります。さらに、胆管癌が進行し過ぎていると(肝、肺など他臓器への遠隔転移、腹膜への転移、大動脈周囲リンパ節への転移など)、手術の効果が得られなくなります。このような場合は抗がん剤、放射線治療を選択します。
具体的な手術方法について- 肝門部胆管癌
肝門部胆管、上部胆管癌は、肝臓側に進展することが多いため、肝外胆管の切除に加え肝臓の切除が必要です(肝臓の左右どちらか半分を取ることが多い)。
- 中部胆管癌
胆管病変のみを切除することで治癒が得られるケースは極めて稀であり、多くの場合において肝臓側胆管もしくは膵臓側胆管に進展しています。膵頭十二指腸切除により、切除される場合が多い。
- 下部胆管癌
下部胆管は膵頭部内を走行しているため、下部胆管癌においては肝外胆管切除に加え、膵頭部、十二指腸、胆嚢、胃の一部を切除する必要があります(膵頭十二指腸切除)。
術後の経過について:手術により、病変が完全切除された場合には、病変の存在部位にもよりますが、おおまかに言うと累積5年生存率は約40-50%です。近年では術後の再発を予防する目的で、抗がん剤による補助化学療法を積極的に行っています。当院においても、胆管癌治癒切除後の全症例において補助化学療法を施行しています。
当院では、日本肝胆膵外科学会認定高度技能指導医が在籍しておりますので、胆管癌に対しての外科的治療に積極的に取り組んでおります。外科外来にて、お気軽にご相談ください。
