シリーズ病気 No.83 加齢性黄斑変性症について
眼科部長 妙中 直子
加齢性黄斑変性症は米国では、65歳以上の高齢者の社会的失明原因の第1位の疾患です。近年、日本でも高齢化や食生活の欧米化に伴い増加しています。加齢性黄斑変性症とは
加齢性黄斑変性症は、老化に伴って、この黄斑部に異常が起こる病気です。黄斑部に脈絡膜から新生血管という脆い血管が伸びてきて、血管から血液成分が漏れだしたり、出血したりして、黄斑の機能に大きな障害を生じます。進行状態によっては、深刻な視力障害をひきおこします。(図3)
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診断するには?
加齢性黄斑変性が疑われる場合には、眼底検査や蛍光眼底造影、OCT(光干渉断層計)などを行います。OCTは近赤外線を利用して、これまで行えなかった網膜の断面撮影を行う検査機器です。網膜疾患、特に黄斑部病変の診断が今までとは比較にならないほど短時間で正確に下せるようになりました。(図4)![]() |
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| 図3 黄斑部の断面図 | 図4 加齢性黄斑変性症のOCT画像 |
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どのようにして治療するのか?
従来は新生血管が中心窩(黄斑部の中心にある最も重要な部分)以外にある場合は、レーザー光線で新生血管を焼き固める治療が行われていましたが、中心窩に新生血管がある場合には、有効な治療法がありませんでした。近年、中心窩に新生血管がある加齢性黄斑変性症においても、進行を遅らせ、視力維持を目的とした新しい治療法が開発されました。- 光線力学的療法(PDT)
ビスダインという光に反応する薬剤を体内に注射した後に、病変部にレーザーを照射する治療法です。正常な網膜に影響を与えない程度の弱いレーザーによって薬剤を活性化させ、網膜へのダメージを抑えながら、新生血管を退縮させます。初回の治療実施後は3ヵ月ごとに検査を行い、必要に応じて再度、光線力学的療法を実施します。 - 抗血管新生薬療法(ルセンティス、マクジェン硝子体内注射)
新生血管の発生や成長にはVEGF (血管内皮増殖因子)というタンパク質が重要な役割を担っています。抗血管新生薬療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤(ルセンティス、マクジェン)を眼内に注射することにより新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。ルセンティスでは、月1回、3ヶ月間の投与を行います。
当科では最新のOCTを用いて、正確な診断を行ったうえで、ルセンティス硝子体内注射を施行しております。(光線力学的療法が必要な患者様に対しては、大学病院などにご紹介させて頂いております。)
加齢性黄斑変性症は早期診断、早期治療が重要です。中心視力の低下や、ものがゆがんで見えるといった自覚症状を自覚した場合には、すみやかに眼科を受診しましょう。




