シリーズ病気 No.86 腰部脊柱管狭窄症
整形外科部長 荒木正史
- 腰部脊柱管狭窄症とは?
腰椎の変形、椎間板の膨隆、靭帯の変性や肥厚などにより、脊柱管といわれる神経の通り道が狭くなり、脊柱管内にある脊髄神経や馬尾神経や神経根が圧迫されると、坐骨神経痛、下肢のしびれ、歩行障害などを引き起こすことがあります。この病態を腰部脊柱管狭窄症といいます。

- 症状:
もっとも特徴的な症状は「間欠性跛行」です。
これは、一定の距離を歩くと、足(下肢)の痛み・しびれ・脱力感などの症状があらわれ、そのために歩けなくなり、腰を前屈した姿勢で休憩すると、症状がおさまり、再び歩けるようになるものです。
さらに脊柱管の中の圧迫部位により、馬尾型・神経根型・混合型の3つに分類され、それぞれ特有の症状があります。- 馬尾型
両側の臀部・下肢・会陰部の異常感覚を特徴とし、間欠性跛行を認めます。
(この異常感覚とは、具体的には、痺れ感、冷感、灼熱感、絞扼感などです。) - 神経根型
片側の臀部・下肢の痛みを特徴とします。 - 混合型
馬尾型・神経根型の両方の特徴を併せ持ちます。
- 馬尾型
- 画像診断:
通常の単純レントゲン写真は、腰椎の変形、すべり症の評価などには有用な検査ですが、脊柱管内の圧迫病変に関しては評価が困難なため、MRI検査や脊髄造影検査をします。
脊髄造影検査は、腰部から針を刺し、硬膜管(脊柱管内にある神経の管)の中に造影剤を注入して、脊柱管の圧迫状態を評価します。しかしながら、穿刺することで生じる種々の合併症がありますので、通常は、まずMRI 検査を施行します。
MRI検査は、外来通院でも可能な検査で、ペースメーカーなど磁場に影響を受けるような治療を受けておられる方には施行できませんが、脊柱管内の評価ができるため、非常に有用な検査です。- MRI検査
脊柱管は、写真のように狭くなっています。

- 脊髄造影検査
硬膜内が白く造影され、写真のように脊柱管狭窄を認めます。

- MRI検査
- 治療法:
- 保存療法
- 薬物療法
プロスタグランジン製剤(間欠性跛行が軽減する可能性があります。)・消炎鎮痛剤・筋弛緩剤などを投与します。 - 硬膜外ブロック
比較的、神経根型に有用です。 - 神経根ブロック
神経根型に有用です。 - 装具療法
コルセットを装着します。 - 理学療法
運動療法や体操などがあります。
- 薬物療法
- 手術療法
保存療法で効果が不十分な場合や、神経障害が強い場合に手術療法となります。
脊柱管狭窄の程度や腰椎自体のずれの程度に応じて、開窓術、椎弓切除術、固定術を施行します。
- 保存療法
- まとめ:
年齢とともに、腰椎は変形し、誰でも腰部脊柱管狭窄症になる可能性があります。間欠性跛行や臀部・下肢の痛み・しびれがあっても、「神経痛だから仕方がない。」「年のせいだから仕方がない。」などと諦めておられる方が多いように思われます。
こういった症状でお困りの場合、一度、整形外科に受診し、ご相談ください。
