シリーズ「病気」

シリーズ病気 No.92 糖尿病の治療 ~富田林病院における病診連携パス~

内科(顧問) 星 充

 糖尿病の治療には療養指導が不可欠ですが、どの医療機関でも可能という訳にはいきません。当地区では富田林医師会が中心となって専門医療機関と一般医療機関の連携パスを構築すべく努力しています。富田林病院とPL病院が専門医療機関として位置づけられ一般医療機関と糖尿病患者の情報を共有し、地域全体の糖尿病診療レベルの向上を目指すことになりました。連携のイメージとしては一般医療機関は初診後、必要に応じて専門病院へ紹介し、糖尿病のコントロール状態がある程度良好になった段階で受診した一般医療機関で安定期の治療を継続することになります。病状の急性増悪や慢性合併症の進行があれば再び専門医療機関が治療を引き継ぎ、地域全体として医療機関が協力しあって糖尿病の治療を実施することになります。(図1・図2)


連携パスによって当院が担当する役割は以下の内容になります。

  • 糖尿病教室:糖尿病の治療では日常生活のQOL(Quality of Life)を良好に保ちながら自己管理で対応することが必要なので、このために薬物療法、食事療法、運動療法のみならず合併症への対応や、日常生活での注意について、月1回の年間スケジュールにより行っています。皆さんの参加を歓迎します。
  • ②糖尿病教育入院:糖尿病の自己管理を確立するために木曜日入院、翌週水曜日退院で、土・日の外泊体験を含めた一週間コースとして実施しています。 運動療法では体力測定をもとに、歩行訓練を行いますが、歩数計を貸し出して自由に散歩し、歩数を記録して、その効果を体験できます。 食事療法では、入院前3日間の食事調査をもとに栄養士が個人指導を行い、入院中はこの指導内容による糖尿病食を摂り、土・日の外泊時の実習を加えて退院後、家庭で実施する食事療法を目で見て、食べて実感して頂きます。 臨床検査技師による血糖自己測定の実習指導、看護師によるインスリン自己注射の指導、薬剤師による服薬指導など一週間コースとしては内容が充実したものです。
  • ③合併症の精査と治療:糖尿病の3大合併症として神経障害、網膜症、腎症について当院では、眼科、血管内科、皮膚科などの協力により精査の上、進行阻止に努めます。また、心臓、脳、抹消血管の合併症についても循環器内科で対応します。
  • ④糖尿病のコントロールのための入院:食事療法の遵守の困難例、勤務時間の不規則なための調整困難例、外傷や併発症による治療困難例については入院の上コントロールに努めます。
  • ⑤インスリン導入への対応:通常インスリン注射開始は入院して行いますが、当院では外来でも看護師、臨床検査技師の協力によりインスリン自己注射の実技、自己血糖測定の実技指導を行っています
  • ⑥その他、必要に応じた糖尿病の療養指導も行います。 当院での糖尿病治療地域連携パスの実施状況としては、平成22年1月現在として一般医療機関より連携パスによる紹介例、(4例)、本院での治療を終了して一般医療機関へ逆紹介された例、(6例)と平成21年に開始された糖尿病連携パスも今後順調に定着するものと思われます。 糖尿病地域連携パスは、このように専門医療機関と一般医療機関が地域の糖尿病患者の情報を共有し、地域全体として糖尿病への対応を確立するためのもので、今後も一般医療機関で対応するメタボ併発糖尿病早期例、高齢糖尿病例など、今まで見過ごされてきた未治療例の早期発見、早期治療の道が拓けることを期待しています。
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