ご挨拶
富田林病院皮膚科に、わたくし中川浩一が赴任して早5年が経過し、今6年目の春を迎えています。この間、地域の先生方の多大なるご支援によりまして多数の皮膚疾患患者の診療に従事させていただきました。この間の活動につきましては、昨年お送りさせていただきました『富田林病院皮膚科五年の歩み』にまとめさせていただきました。参考にしていただければと存きます。
さて、昨年は当科の今西久幹副医長、吉田康彦副医長が日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得いたしました。今年度からは彼らとともによりいっそう強力な診療体制で臨みたいと考えておりますので、さらなるご指導・ご鞭撻をいただければと存じます。
特色
皮膚疾患というものはおおむね皮膚の表面にあり、患者さん自身が発見する場合が多く、診断も患者さん自身によって行われる場合もあります。したがって、医院・病院で先生方が種々の診察や検査の結果から診断されるものよりも一段低い疾患として扱われる場合が多いようです。外用薬にしても、“適当に塗っとけば治るだろう”と安易に処方されることもあります。しかし、皮膚科学には意外に奥の深い部分もあり、外用剤の選択によっては2-3週間で治癒するものが、患者さんに何年もの病悩期間を強いているケースもあります。そんな状況にあって当科は専門医3名と後期研修医1名いう一般病院皮膚科ではまれな診療体制で、最新の皮膚科学(EBM)に基づいた医療を提供できる施設であります。水虫から皮膚がんまで幅広い分野に対応できます。少しでも困った患者さんがありましたらご紹介いただければ幸いです。
専門外来
火曜日の午後“アトピー外来(担当:今西)”、木曜日の午後“ほくろ外来(担当:中川)”をおこなっております。
当科で扱っている主な皮膚病の特徴とその治療
■皮膚悪性腫瘍:
この南大阪地域にあって、皮膚悪性腫瘍の治療が可能な施設は近大病院と当科のみです。昨年度も、多数の悪性黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、パジェット病、ボーエン病、日光角化腫などの患者さんの診療を行いました。一般の方は、皮膚がんが生命にかかわる疾患であるという認識をもたれないようですが、先生方もご存知のように、悪性黒色腫では、本邦において毎年数百人のかたが亡くなられています。もちろん、これらの疾患の予後を左右するのは早期発見の有無です。先生方のところに、少しでも怪しい皮膚病変のかたがこられましたら、是非、紹介いただければと存じます。なお、無料の皮膚がん健診も毎月第3水曜日に行っています(詳細は地域連携室までお問い合わせください)
■アトピー性皮膚炎:
皆さんが方の関心も高い皮膚病です。お医者さんに行って、もし、『アトピー性皮膚炎ですよ』と言われたら、大変な病気になってしまったかのように思われる方もいらっしゃるでしょう。確かに難治性のタイプのアトピー性皮膚炎もありますが、たいてい(9割以上)のアトピー性皮膚炎は、皮膚科専門医を受診して、ガイドライン(日本皮膚科学会でアトピー性皮膚炎を専門に研究されている先生方が作った標準的治療法)にしたがった治療を受ければ、十分コントロール可能です。完全に治る方もいらっしゃいます。ただ、うわさや悪徳業者の口車に踊らされて、特殊な科学的根拠のない“塗り薬や、水、まじない”を信じるあまり、変に重症化したり、副作用に苦しんでいる患者さんの多いのも事実です。
当科でなくても結構です。まずは、皮膚科専門医を受診してください。
ガイドラインに従った治療の基本はステロイドホルモンの外用と抗アレルギー剤の内服です。たいていのアトピー性皮膚炎の症状は軽快します。ただし、これらに加えて、アレルゲンやストレスから遠ざかることも重要です。食事は和食中心にしましょう。特に、パン食はやめたいものです。パンの原料は小麦粉で、遠くアメリカやカナダから運ばれて来る船の中で、大量の農薬散布が行われています(ポストハーベスト)。これらがアレルギーの原因の一つになっています。また、パン食にすると、どうしてもマーガリンのような脂質、ジャムに含まれる糖分が付いてきます。基本は、米飯食とし、これに野菜を多く入れた味噌汁を食べましょう。お家は、常に清潔にこころがけ、押入れに中も時々掃除するようにしましょう。
■接触皮膚炎:
いわゆる“かぶれ”です。いろいろなものが、その原因となります。秋には銀杏(ギンナン)でかぶれた人もいらっしゃいました。また、市販の水虫薬でかぶれた患者さんも診ました。これらの病気に対する治療はステロイドホルモン剤の外用が中心になります。ひどい時には内服していただくこともあります。ただし、これだけで治療が完結するのではなく、本当の原因を調べておくことも必要です。すなわちパッチテスト(貼付試験)です。原因と思われる物質をしみこませたろ紙を背中などの健常部に貼って、48時間後に判定します。この方法を使えば金属アレルギーなどの原因金属も発見できることもあります。
■薬疹:
これも可能性のある薬剤をやめて、抗アレルギー剤を内服していただければすぐによくなります。しかしいくつかの薬剤を同時に内服されている場合は、はたしてどの薬剤真犯人であるかを調べておく必要もあります。
また、薬剤によっては複数の成分からなる合剤の場合もあります。このような場合もはたしてどの成分が薬疹の原因だったかを検査することもできます。
外来でプリックテストやスクラッチテストを行ない、それに反応のない場合は入院の上、内服チャレンジテストを行ないます。
最近では、PL顆粒による蕁麻疹型薬疹に対して、その成分のサリチルアミドが原因であることを突き止め済生会学会で報告しました。
また、3剤内服後のアナフィラキシー型薬疹も、ハイペンが原因であることを証明しました。さらに、一般的によく使われるミノマイシンでは青黒色の色素沈着を生じることがあります。これに対しては、皮膚生検によって皮膚へのミノマイシンの沈着を証明しました。
■食物アレルギー:
最近種々に食品、たとえば卵、小麦、肉、魚などにアレルギーを示す患者さんが増えています。
薬疹のように蕁麻疹がでるだけならいいのですが、アナフィラキシーショックを起こす患者さんもいます。 この場合、救命処置が必要になることは当然のこととして、その後原因食物の検索が必要となります。
当科では、患者さんに調べたい食品を持参していただいて、プリックテストを行なって患者さんのご要望にこたえるようにしています。最近では、お肉に反応した患者さんがあり、魚食を中心にするように指導しました。
■尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症:
通常ステロイドホルモンの外用療法が行われます。しかし、症例によっては紫外線療法が著効を示すこともあります。 当科にはナローバンドUVB照射装置がありますので、通院や入院のできる患者さんに照射して好成績をあげています。
■皮膚悪性腫瘍:
この南大阪地域にあって、皮膚悪性腫瘍の治療が可能な施設は近大病院と当科のみです。昨年度も、多数の悪性黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、パジェット病、ボーエン病、日光角化腫などの患者さんの診療を行いました。一般の方は、皮膚がんが生命にかかわる疾患であるという認識をもたれないようですが、先生方もご存知のように、悪性黒色腫では、本邦において毎年数百人のかたが亡くなられています。もちろん、これらの疾患の予後を左右するのは早期発見の有無です。先生方のところに、少しでも怪しい皮膚病変のかたがこられましたら、是非、紹介いただければと存じます。なお、無料の皮膚がん健診も毎月第3水曜日に行っています(詳細は地域連携室までお問い合わせください)。
■帯状疱疹:
帯状疱疹は痛い皮膚病の代表です。もともとは水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因です。水痘罹患者が高齢化やストレスなどによって低免疫下におかれたときに、ウイルスの再活性化によって発症します。この疾患に対する特効薬がアシクロビルであることは今もかわりません。しかし、何よりも免疫力を高めることが重要であります。当科では、できるだけ患者さんには入院していただいて、アシクロビルの点滴注射を行うようにしています。このような患者さんがいらしたときも是非ご紹介いただけたらと存じます。
■その他、どのような皮膚の異常でも・・・
いつでもご相談させていただきますので、“こんなことで?”と思われる症状でも受診いただければと思います。
当科で扱っている器械
◆ナローバンド :UVB照射装置:いわゆる最新式の紫外線照射装置で、尋常性乾燥・尋常性白斑・掌蹠膿疱症・アトピー性皮膚炎などが適応症です。もちろん、保険にて治療が可能です。 ◆ダーモスコピー :皮膚の中まで透視して見る器械です。皮膚腫瘍の診断や血管の走行の観察に便利です。先に述べた悪性黒色腫の診断等にはかかせない器具です。ダーモスコピーの説明はこちら◆炭酸ガスレーザー:小さなホクロや腫瘍を焼ききることができます。保険で治療ができます。
◆アレキサンドライトレーザー:薄い茶色のあざや顔面の青あざ(大田母斑)の治療に用います。老人性の色素斑にも威力を発揮しますが、残念ながら、保健適応ではなく、数万円の治療費がかかります。
◆サージトロン:高周波メスとも呼ばれます。組織の切開・凝固・止血に用います。皮膚組織へのダメージが少ない器械です。
◆超音波画像撮影装置:皮膚の中にある腫瘍や、リンパ節などの深さ、大きさなどを判定するのに極めて有用です。
◆その他、病院に所属しているMRIやCTなども駆使して、皮膚病の診断に役立てています。
