大阪府済生会富田林病院 指導医インタビュー 藤井 隆 副院長
藤井隆副院長は東京医科歯科大学を卒業後、出身地である大阪へ戻り、日生病院の内科で研修医として勤務した。その後、大阪大学第三内科で免疫アレルギーの研究生となる。富山医科薬科大学、大阪大学附属病院、西宮市立中央病院で内科臨床医としてのキャリアを積んだ後、1988年から2年間、米国ダートマス大学で免疫学の研究留学を行った。帰国後、兵庫県伊丹市の公立学校共済組合近畿中央病院に勤務し、1998年に副院長に就任した。
藤井先生と臨床研修制度の関わりについてお話し頂けますか?
ちょうど近畿中央病院にいた1992年に臨床研修病院の指定を受けるための準備委員の一人になりまして、当時の厚生省からヒアリングを受けるなど様々な仕事に携わりました。私自身がいろいろな病院に勤めてきたのがプラスになっている感はありますね。2001年に当院に移ってからは、研修プログラム作成にあたって当院の独自性をどれだけ反映できるかという点に重点を置きました。
大阪府済生会富田林病院の特徴をお話し頂けますか?
当病院は、富田林市の市民病院としての役割を担っています。救急告示病院ですし、救急疾患が多いことがまず挙げられます。規模としては300床と大病院とは言えないのですが、地元の開業医からの紹介も多く、現在紹介率は35%~40%で、平均在院日数は16日となっています。大阪市内から見れば郊外の立地ということもあり、患者さんにとってはお越しになりやすい病院のようで、プライマリーケアの必要性も高いです。
また剖検数が昨年17体、一昨年16体と2年連続で内科学会の規定をクリアしたことから、今年度は教育関連病院から教育病院へとステップアップします。これにより内科認定医試験に対し3年目で受験資格を得ることができます。
さらに今年5月から循環器科を標榜することになり、循環器学会教育病院にも指定されています。富田林市内では唯一の循環器科を備えた病院ですので、循環器科を学びたい先生方には良い環境となるのではないでしょうか。
指導医として、どういうことを心がけていらっしゃいますか?
患者さんから学ぶという姿勢を持つことですね。患者さんは一人一人異なった病気をお持ちです。1例ずつ経験して技術を磨いてほしいと願っています。大学を卒業しますと、手取り足取りでは誰も教えてくれません。自らの意欲が大切です。楽な症例しか経験しないでいるより、重症の症例を経験するほうがはるかに力はつきます。常に勉強する姿勢を私自身も持つようにしています
ご専門の内科の立場からはいかがでしょうか?
やはり患者さんの状態をよく観察してほしいということでしょうか。近年、内視鏡や循環器科でのカテーテルなど、内科のすべき仕事は増えてきました。緩和ケアなど患者さんの精神的な内面や心理面を診る必要性も高まっていますし、全人的医療を目指さないといけませんね。インフォームドコンセントやEBMなど、納得された医療は患者さんとのコミュニケーションが前提となっています。医療者と患者さんが対立することなく、医療の中に患者さんに入って頂くわけです。患者さんのために・・という姿勢を忘れなければ、結果については患者さんも認めて下さると思います。スキルだけでなく人間性も育ててほしいですね。それに、医療にはマイスター(徒弟)制度が存在しています。指導者と若い先生方でともに努力を続けたいですね。
これは余談ですが、私は面接の時に医師として何が重要かを聞くようにしています。内科の研修医は「情熱が必要だ」と答えますが、外科の研修医は「冷静さが必要だ」と答えます。内科と外科でこんなに答えが違うので、なるほどなあと思っています(笑)。
シニアレジデントの研修に関してはどのようにお考えですか?
私見ですが、かつては「医学」という言葉ほど「医療」という言葉はあまり使われていなかったと思います。日本ではいわゆる「医学」に重きを置いていたように思います。「医療」という言葉が広まるとともに病院も身近な存在になってきました。もちろん医学の発展があって、薬の開発が進むなど、確かに医学も重要です。しかし、今までの医学部では医学しか教えず、医療や治療はあまり教えませんでした。ようやくプライマリーケアや救急救命措置を教えるようになってきたわけです。そのような今の大学で学ばれてきた若い先生方には非常に期待しています。
どの科に進むにしろ、ジュニアレジデントが修了してからの3年間は医師として重要な時期です。エビデンスだけでなく経験も必要です。専門研修でかなりの力がつきますからやる気を持って頂きたいですね。チームの一員としての仕事をしながら、先輩の先生方の技術を習得してほしいです。
私どもの病院では症例数も多いですし、手技の習得など実地で学べることが充実しています。また大学院で学びたい先生方にも科目によって大阪大学、大阪市立大学、奈良県立医科大学、近畿大学をご紹介できます。それだけではなく、私どもでは意欲のある方に、生活面での心配がない保証をしています。
臨床研修制度の良い点、悪い点をそれぞれお話し頂けますか?
昔のように卒業後いきなり入局するとなると、科を変更したいときに大変でした。それを思えば進路が決まっている人にも決まっていない人にも、今の制度は良いですね。私が研修医の頃には外科や麻酔科の研修がきちんと行われたという実感がありません。救急救命で必要な気管挿管も学ぶ機会には恵まれませんでしたので、あとで苦労しました。今の研修医の方は3ヶ月で30から40例の挿管を経験しています。先生方も「自信がついた」と喜んでいますし、そういうシステムは良い点だと思いますね。
悪い点は、小児科、産婦人科などは1ヶ月のプログラムとなっているところが多いですが、何がどこまで身に付くのだろうという疑問を感じます。しかし、まだ2年目に入ったところですし、これから修正されることも出てくるでしょう。
一日のタイムスケジュールを教えて頂けますか?
週3回は外来を担当しています。再診の予約だけでなく、地域診療所からの紹介も多く午前中で終了することはなく午後4時ぐらいまでかかります。外来がない日には入院患者の診療に当てています。
またジュニアレジデントにもシニアレジデントにもマンツーマンで指導しています。その後、カンファレンスを行っています。
ご趣味についてお聞かせ下さい。
これといって趣味というものは無いですが、しいて言えば、「食べること」でしょうか(笑)。料理はしませんが、とにかくおいしいものを食べるのが大好きです。休日には家族と外食を楽しんでいます。
大阪府済生会富田林病院 研修医インタビュー 須崎 剛行 先生
須﨑剛行先生は兵庫県西宮市出身で、2003年に名古屋市立大学を卒業後、大阪大学第一外科(当時)に入局した。1年目は大阪大学附属病院で、2年目にあたる昨年から大阪府済生会富田林病院で研修している。
医師を志したきっかけをお話しください。
医師という職業は「患者さんのために」という分かりやすい目的があるので、他の職業に比べるとやり甲斐があると思いました。
外科医を志望されたのはどうしてですか?
外科医は、内科医と比べて手術がメインですし、疾病に対しても手術することによって結果がはっきりしているので、そのメリハリのある部分に惹かれました。
阪大病院での研修を振り返っていかがですか?
出身が兵庫県ですし、両親も高齢ですので、名古屋に残るよりも出身地に近いところがいいなと思い、関西で探していました。それで、阪大に入局することにしました。
(阪大は)きついとは聞いていたのですが、すべて「想定の範囲内」でした(笑)。どんなことにも耐えられそうなベースになる部分を作って頂いたと思っています。同期は16人で、6人が阪大以外の出身者です。分け隔てのない非常にアットホームな環境でした。しかし、仕事はなかなか終わりが見えず、どこまですればいいのか最初のうちは全くわからなかったですね。
2年目の研修先に大阪府済生会富田林病院を選んだのは、どういう理由ですか?
いわゆる大病院は性に合わなくて、落ち着かないのではと思っていました。これからは腹腔鏡がメインになってくるという認識を持っていて、こちらは規模のわりには腹腔鏡を積極的に取り入れており、充実した内容になっているとう伺がって希望しました。実際に来てみると、ほかの病院では行っていないような症例も多く、高い技術力を感じます。
手術の手技自体、上手な先生方ばかりです。また患者さんとの接し方や手術後のフォロー、患者さんにとってのベストプランをさりげなく提示するやり方など、とても真似できないなあと思いますが、何とかそのレベルに追いつきたいです。
大阪府済生会富田林病院で一番勉強になったことは、どんなことですか?
最初の治療でビジョンを明確に持っておかないといけないということでしょうか。そのビジョンについて、最初は迷いがあって時間が過ぎていくばかり・・ということもあったのですが、最近ではどういうコースを辿るのかということが整理できるようになってきました。患者さんとできるだけコミュニケーションをとって、たとえ患者さんにとって厳しい結果でも患者さんに納得して頂くことの大切さを学びました。
何か不満な点があればお話し頂けますか?
特には思いあたりませんが、強いていえば、もう少し症例があるといいなと思います。
コメディカルとのコミュニケーションに関してはいかがでしょうか?
土地柄ということもあるのでしょうか、皆さん、とても気軽に声をかけてくれますね。話しやすい雰囲気で、様々なことが相談できます。
ジュニアレジデントにどのような指導をしていますか?
血液検査のやり方などですね。あと、結構下働きが多いので、検討会の用意の仕方などについても教えています(笑)。私が1年目のときには、どれだけやったら帰っていいのか全くわからなかったので、「これだけやったら帰っていい」ということを声をかけるようにしています。今のところジュニアレジデントが皆、外科志望とわかっているわけではないので、ひと通りそつなくこなしてもらえればいいのではないでしょうか。志望していないジュニアレジデントには、どこまで教えるべきかは迷いますね。
今後の研修予定をお聞かせください。
6月から愛媛県の国立病院機構愛媛病院で胸部外科の研修を始めます。こちらでは消化器外科を勉強させて頂いたので、胸部外科の研修を行ってみて、どちらを今後の専攻にしていくかを決める予定です。
将来は手術が上手な医師に・・というのはもちろん夢としてありますが、患者さんから信頼して頂ける医師になりたいです。
ジュニアレジデントが研修病院を選ぶにあたってアドバイスをお願いします。
自分がこうありたいと思う医師がいるところが良いと思います。私はこちらの外科部長の道清勉先生に師事したかったのです。患者さんとのコミュニケーションの取り方や患者さんのちょっとした変化でも、看護師さんに言われる前に気づく観察力や、治療方針がはっきりしていることなど尊敬しています。
外科はしんどいイメージがありますが・・・その通りです(笑)。しかし、他の科では味わえない充実感もあります。患者さんに対して最後まで責任を持つことにやり甲斐を感じます。「人生、何かやりたい」と思っている方にはおすすめします。
タイムスケジュール
| 07:30 | 出勤・病棟業務 |
|---|---|
| 09:00 | 検査か外来か手術 |
| 15:00 | 病棟業務 |
| 16:00 | カンファレンス |
| 20:00 | 書類業務 |
| 22:00 | 帰宅 |
| 24:00 | 就寝 |
ご趣味についてお聞かせください。
趣味は車の運転ですね。とは言っても、病院までのわずか10分の道のりのドライブです。いつもハードロックをかけて気合いを入れています(笑)。休みも半日ほどしかないので買い物するぐらいですね。その分、夏休みは旅行します。去年は四国に行きました。
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